保育・介護の現場リーダーの困りごと
~“人手不足”だけでない、“心の”要因の見立てと対応策~

興津祥子 おきつしょうこ

精神保健福祉士
公認心理師
産業カウンセラー

想定する対象者

保育園の園長・主任等、現場リーダー層
介護施設(入所・通所)の施設長・サービス管理責任者等、現場リーダー層

提供する価値・伝えたい事

現場のリーダークラスの皆様がマネジメントをする中で、日々さまざまな問題に直面していることと思います。その際、問題が何に起因するのかを見立てる視点はとても大切です。正しく見立てられれば、対応策は自ずと見えてきます。

本研修では、職場の困りごとを見立てる視点を整理します。また、スタッフが職場にうまく適応できないというとき、背景に「心の問題」がある場合があります。人の悩みは多岐にわたりますが、業務に支障が起きているのであれば、心の悩みの見極めもリーダーの役割となってきます。
「心の問題」の基本的な知識、仕事上で見られやすい特徴、そして対応策を学ぶことで、より円滑な現場運営を目指しましょう。

内 容

1.見立ての大切さ
対応方法を考える前に、まず問題の見立てを!

2.職場のトラブルや困りごとの要因分析

3.職場の問題は「システム」として対応
・人間はミスをするもの、コミュニケーションは行き違うものという前提に立った仕組みを作る。
・現場のリーダーに求められるのは、要因の見立て→仕組みづくり。
・システムが機能するために、管理職には部下や後輩の指導・心身の健康ケアの役割が求められる。そこでもまずは見立て→そして対応。

4.相手の前提や現状に沿った指導方法

5. 心身の健康ケア~「心の問題」の見立て
A.働く人の「うつ病」の問題
B.上司や目上の人にいつも反発心を持っている人
C.虐待を受けてきた人
D.能力的な問題=軽度の発達障害が疑われる場合

A~Cは通常のマネジメントで対応できる。
・いつもと違うサインに気付く
・疾病性ではなく事例性を指摘して声掛けする
・可能な範囲で傾聴。わかってもらえたというだけで自ら解決に向かっていくことは多い。
・全て抱え込まず、カウンセリングを勧める、専門家に相談、上司に相談…
Dは、通常のマネジメントだけでは対応が難しい。
・「いつもと違う」ではなく、「常に」「最初から」できていない。
・ケースとしてはごく少ないが、職場への影響は大きく、長引く。
→見極めのポイントは?

6.職場における発達障害理解
①発達障害の基本的知識
 1.知的能力障害(特に軽度~境界域)
 2.注意欠陥・多動性障害(ADHD)
 3.学習障害(LD)
 4.自閉症スペクトラム(アスペルガー障害を含む)
②職場で問題化しやすい特徴
 1.自己客観視・自己洞察が困難→自己認識と周囲の評価のズレ
 2.社会規範・社会的視野の欠如→職場のルールを守れない
 3.対人状況理解の欠如→顧客クレーム
 4.幼い愛着関係を求めている→距離感の不適切さ、注意されると被害的になる
 5.時間的展望が持てない→計画や段取りが苦手
 6.定型作業は可能でも、複雑な仕事やマネジメントにステップアップすると不適応を起こす
③どう対応するか?
・環境調整が一番の処方箋。本人の努力や心掛けとは関係なく「障害」であることを理解するだけでも、状況は好転する。
・適材適所。達成可能な課題を、一つずつ(複数同時はNG)確認しながら完結させる。
・反省と自覚を促すのではなく、「やるべきこと」「やってはいけないこと」を易しく・優しく教える。「自分で向き合いなさい」といった抽象的な注意は理解できない。
・できたことは褒める。自分が受け入れられている安心感があれば、持てる力を発揮する。

根拠・関連する活動歴

・福祉事務所での「精神保健福祉支援員」
・EAPにおける管理職研修・メンタルヘルス研修講師(保育・介護系事業者向け含む)

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