進化を知る:ヒトはもっとも進化したと言えるのか

上野吉一 うえのよしかず

中部大学 特任講師

想定する対象者

「人」に興味・関心のある方
人と動物は何が異なっているのかに興味・関心のある方
「進化」について興味・関心のある方
「知性」について興味・関心のある方
人はなぜ差別や争いごとをするのかを知りたい方

提供する価値・伝えたい事

人の進化を知るということは、人が歩んできた生物学的な「歴史」に目を向けることである。人がどういう道のりを経てきたのかを理解することによって、今存在するわたし達は何者かを理解するきっかけの1つを理解することができる。

人は「万物の霊長」と呼ばれ、もっとも進化したものと、長い間わたし達は考えてきた。しかし、近年急速に人以外の動物の特性が、知性も含め明らかになってきている。そうした知見によると、人は人として他の動物とは異なる特性は持っているが、特別のものを持った存在ではないと考えられる。

そうした人としての「身の丈」を理解することは重要である。身の丈を知ることは、現実社会やネット社会における問題や、自然や生き物との関わり方といったことへの新たな切り口となることができるからだ。それによって、
わたし達は身の回のさまざまな事柄や問題に対しこれまでと異なる捉え方をすることが可能になる。

内 容

進化とはどう考えることができるのかという、生物学的な考え方や定義を説明する。

人の進化について、最新の知見を踏まえ、どのような道のりを歩んできたかを解説する。

人類はこの地球上に1種のみ存在したのではなく、数万年前にはネアンデルタール人を始めとする数種類の人間と共に生活していた。ネアンデルタール人の遺伝子は我々人が受け継いでいる。つまり、ネアンデルタール人と交雑もしていた。

あるいは、バイキングはこれまで白人の大男の集団のようなイメージで描かれていた。しかし、遺伝子をもとにした研究によって、単なる単一人種の集団ではなく、さまざまな地域の人々が交雑した多様性を含んだ集団だったことが明らかにされ始めている。つまり、バイキングの集団では、人種の壁を飛び越え、多様性を認め合う社会を築いていた。

一方で集団間の争いは古くからあるのも事実である。ネアンデルタール人と交雑をする関係にありながら、一方で彼らを絶滅させたの人である。人は基本的な生物学的性質として、集団内の仲間と集団外のものに対する態度は一様ではなく、外集団には柔軟性が欠け敵対的な態度を示しがちになる。

こうした、かつてのわたし達の人の社会や生活を省みることで、わたし達人類が抱える社会の問題を改めて見つめ直してみる。

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