研修もオンラインなどの新しいスタイルが増えているなか、今あらためて集合研修の効果が注目されています。同じ時間と場所を共有するからこそ、学習面と参加者同士の交流の両面において、得られるメリットがあります。

今回は集合研修ならではのメリットや、オンライン研修との違い、効果的な運営方法などを解説します。

目次

集合研修とは

集合研修とは、講師とすべての参加者が同じ場所に集まって実施する形式の研修です。

会議室などのスペースを用いて、講義やグループでのワークやディスカッションなどを行います。多くの社員に一度に同じカリキュラムを受けてもらうことができ、効率的に進められます。

集合研修では他の参加者や講師と対面でやり取りができるため、コミュニケーションが活発になりやすいのが特徴です。

集合研修とオンライン研修など他の研修方法との比較

現在は集合研修以外にも、インターネットを介して実施されるオンライン研修も人気です。ここではオンライン研修との比較と、集合型にはどんな研修内容が向いているかを見ていきましょう。

オンライン研修との比較

オンライン研修は集合研修に比べて、場所に制限されることなく、講師や受講者が自分の好きなところから参加できるのが一番のメリットです。アーカイブ配信にすることで、その日参加できなかった受講者もあとから視聴することができ、反復学習も可能です。
また、集合研修の場合、受講者が大人数の場合は会場の借り入れが必要となり、会場探しやレンタル料など負担がかかります。その点、オンライン研修であれば、小さな会議室からでも配信できるため、コストや負担面での軽減が可能です。

とはいえ、オンライン研修の場合、受講者同士の距離感が感じられるため、一体感が得られづらいというデメリットもあります。特に、新人研修や異なる部署や支部が集まって研修をする場合、「垣根を超えた交流」も研修目的の一つとなります。集合研修の場合、一体感が感じやすく、自然と受講者同士の学びへの意欲も高まりやすい環境が作られます。またオンライン研修のように通信環境や機器のトラブルを心配する必要もありません。管理側は現場の状況を把握しやすく、研修をスムーズに進行できます。

➨詳しくは「初めてのオンライン研修でも安心!効果的なやり方と成功させるためのコツ」を参照

集合型が向いている研修の種類

集合型が最も適しているのは、参加者同士の連帯感やチームワークを育む狙いがある研修です。

例えば内定者研修や新入社員研修、あるいは新任の管理職研修のように、階層ごとの節目となる研修では、参加者同士の交流をかねて集合研修を実施するのが効果的でしょう。

また講師の実演を見たり、グループワークやロールプレイングなどを取り入れたりする場合も、集合研修が適しています。同じ空間にいることで質問や意見交換などコミュニケーションが活発になり、参加者の理解が深まります。

集合型研修の効果が高まる、注目のハイブリッド型研修3選

最近は集合研修にその他の研修方法を組み合わせた「ハイブリッド型研修」が注目されています。ここではハイブリッド型研修の3つのスタイルを紹介します。

集合研修とその他の学習を組み合わせる「ハイブリッド型研修」とは

集合研修には、時間や場所、コストの面で欠点があることは前述した通りです。

ハイブリッド型研修では「受講者が個々のペースに合わせて学習を進めるべき部分はeラーニングで、ロールプレイングなど対面が適するカリキュラムは集合型で」というように研修形態を使い分けができます。これによって運営側と受講者の負担を軽減しつつ、内容に応じてベストな形態を選択することで知識の定着を促します。

この教育手法は「ブレンディッドラーニング」とも呼ばれます。

➨詳しくは「リアル+オンラインの併合型「ハイブリッド型講演」とは?➁開催方法と成功のコツ」を参照

ハイブリッド形式①集合型+ライブ配信(オンライン)

「集合型+ライブ配信(オンライン)」は、一部の受講者を同じ会場に集めて集合型研修を実施し、他の受講者はそこにオンラインで参加するスタイルです。あるいは会場に集まっている受講者に向けて、講師がオンラインで画面の向こうから講義を行います。

オンラインという選択肢があれば、運営側としては会場のキャパシティーを気にせず研修の参加者を増やしたり、遠方の講師への依頼も検討できたりします。また講師にとっても移動の負担がないことは大きなメリットです。

ハイブリッド形式②集合研修のライブ配信+アーカイブ配信

①の方法にアーカイブ配信を足した方法です。当日リアルタイムで参加できなかった受講者のために、ライブ配信を録画し、録画した動画は一定期間視聴可能な状態にしておきます。当日リアルタイムで参加した受講者も、後から再度視聴することで、反復学習ができ、より知識の定着が図れます。

ハイブリッド形式③集合型+eラーニング

インターネット上の学習システム・eラーニングを集合研修の前後に組み合わせる手法です。
他の参加者と一緒に参加する集合研修を軸に据えつつ、その実施前や実施後に予習や復習としてeラーニングを取り入れます。

集合研修のメリット

ここでは改めて集合研修のメリットについて再確認しておきましょう。

メリット①社員同士の交流や一体感の創出

集合研修では、社員同士の間で新たな交流が創出されたり、一体感が得られたりする効果があります。

これまで仕事での接点がなかった社員同士にもコミュニケーションの機会が生まれます。また接点のあった人でも、研修を通じて相手の異なる一面が分かることもあるかもしれません。

これにより一体感だけでなく、互いの学習への意欲も刺激されるでしょう。他者と関わる中での気づきや葛藤が重要となる研修にも有効です。

メリット②質問や議論による理解の深化

集合研修の2つ目のメリットは、単独でオンライン受講するよりも、学んだことへの理解が深まる点です。特に新技術やマナーに関するテーマなどには有効です。

講師が目の前にいれば疑問に思った点はすぐに質問できます。ロールプレイングなどではその場で直接、受講者自身の実践に対するフィードバックも得られます。

さらにワークやディスカッションなどの場で、他の参加者の出した結果や考えを聞き、学んだ知識をさまざまな角度から捉えることが可能です。自分一人で講師の話を聞いているだけでは思いつきもしなかった問題点に気づかされる場合もあるでしょう。

メリット③アウトプットの増加

アウトプットの機会が豊富なのも、集合研修のメリットの1つです。

集合型研修では「反転学習」の効果を最大限に発揮できます。反転学習とは、教科書などの予習で知識を先にインプットしてから教室でアウトプットを行うことなどで、「獲得した知識をスキルとして自分のものにする」学習方法です。

1人で取り組むオンライン研修やeラーニングは、どうしても知識のインプットだけに偏りがちです。参加者が講義を聴いてからワークなどの実践も経験できる集合型研修は、反転学習によって参加者全体のスキルアップまでが見込める形態となっています。

メリット④企業風土や文化の共有

受講者が一度に集まる集合研修は、企業にとって自社の風土や文化を受講者に共有する機会でもあります。

その点において、特に新入社員研修には集合研修が効果的です。同期や先輩社員と共にする経験が、企業の価値観やアイデンティティが組織のなかで確実に受け継がれていきます。

集合研修のデメリット

集合研修は、上記のメリットがある一方で、以下の4つのデメリットに留意する必要があります。

デメリット①スケジュール調整が困難

受講者が同じ時間に同じ場所にそろわなくてはならない集合研修は、スケジュールの調整が難しいのがデメリットです。

特に、各部署の社員が集まりやすい候補日・実施スケジュールの絞り込みや、重要な業務を抱える社員が対象の場合の出欠管理などにも手間がかかります。

デメリット②現場業務への負担

集合研修を実施するにはさまざまな事前準備が必要です。
会場セッティングや資料の印刷、機材搬入やその動作確認を行わなければなりません。また実施後の後片付けもあります。集合研修を1回実施するごとに、研修担当者には多大な負荷がかかります。

デメリット③運営側コストの増大

コストの問題も無視できません。

まず講師への交通費の支払い、さらに社外の会場を借りる場合には施設利用料や設備レンタル料がかかります。参加者の宿泊を伴う研修であれば、受講する全員分の交通費や宿泊費も必要です。

デメリット④頻回の開催が困難

運営業務の負担やコストの問題により、集合研修には実施できる回数に限りがあります。

運営側は「できるだけ実施回数を抑えること」を意識せざるを得ないため、同じテーマの研修を異なる日程で何度も実施するのは難しいでしょう。

9ステップで解説 効果の上がる集合研修の運営方法

最後に、集合研修を実施するときの流れを9つのステップに分けて解説します。研修の企画や設計にあたってぜひ参考にしてください。

ステップ1: 研修の目的と実施後の到達目標設定

研修は企業の人材育成戦略に基づき、計画的に実施することが大切です。そのためには、まず「何のために研修が必要なのか」という目的を明確にし、「研修によってどのような成果を得たいのか」というゴールを設定します。

以降のステップは、すべてこの目的と目標に基づいて設計していきます。

ステップ2: 対象者の選定

研修実施の目標と照らし合わせて、社内のどの職種、あるいはどの階層を対象とすべきかを選定します。

例えば「次世代の管理職候補となるリーダーシップ人材を育成すること」が目標であれば、各部署の中堅社員が研修の対象となります。

ステップ3: 講師やカリキュラムの決定

次に具体的に講師やカリキュラムを決定します。

内定者研修など企業文化の共有が目的であれば社内人材に、ITスキルやメンタルヘルスなど専門的な知識の獲得が目的であれば外部の専門家に、それぞれ講師を依頼するのがおすすめです。

また講師と相談し、集合研修ならではの、グループワークなど実践的な内容を積極的に盛り込むとよいでしょう。

ステップ4: 教材の制作・準備

教材の質も研修の成果に大いに影響します。受講者目線で分かりやすい内容や構成になるよう、意識して制作しましょう。教材の準備はカリキュラムの設計と同時進行で行うケースもあります。

ステップ5: 会場と設備の手配

会場や設備の手配も早めに着手しなくてはなりません。

外部施設を利用する場合、人気の施設だと直前では予約できない場合もあります。大まかな参加人数やカリキュラムが決まれば、会場探しも並行して進めておきましょう。

ステップ6: スケジュールの調整と通知

次に、講師や社内関係者と最終調整を行い、スケジュールを確定します。

対象者がその日時に向け業務を調整できるよう、早めに通知しましょう。出欠管理や、必要に応じてグループ分けなどの工程もあります。

ステップ7: 研修当日の進行や現場管理

自社で運営する場合、研修担当者は当日の進行や現場の管理全般を担います。講師ができるだけ講義などに集中できるよう、進行をサポートするのが役割です。

具体的には教材配布や機器操作、参加者の入退室管理、また想定外のトラブルが起きた場合の対応などを担います。

ステップ8: 効果測定と評価、次回の改善項目検討

研修の効果を最大限に高めるには、実施後に効果の測定を行う必要があります。

最初に設定した目標に対して、参加者との事後面談やアンケート、業務上の成果などから達成度を測ります。また個々の参加者の知識やスキル向上の他だけでなく、研修が組織全体にもたらした効果についても検証しましょう。

そして不足している部分に対しては、何が原因だったかを明らかにします。

ステップ9: フォローアップと次回に向けての改善

受講者に対しても、必要に応じてフォローアップを行います。

受講者に回答してもらった実施後アンケートの結果や業務上の変化に注意し、知識やスキルがまだ不十分と見られる点については、次回の研修への参加をうながしてもよいでしょう。

そして組織が想定した成果が得られなかった部分については、次回の研修で確実に改善できるよう原因を検討して方策を定めます。

集合研修には講師と受講者が空間を共有するからこそ、活発なコミュニケーションや一体感が生まれ、研修のテーマに対する理解が深まるメリットがあります。自社の課題に応じて、集合研修を人材育成戦略に効果的に取り入れましょう。


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