イメージ形成の理論から考える いじめのメカニズム
自殺者が出る「いじめ」はなぜ起こるのか?

田中美子 たなかよしこ

社会学者。早大首席卒業後東工大史上初の早さで博士号(Ph.D)取得、前千葉商科大学大学院教授
Dr.美子塾、学習科学研究所代表
「イメージ」形成論の日本の第一人者

想定する対象者

教育委員会、小中高校の教師研修、「いじめ」被害者の会、管理職、校長研修

提供する価値・伝えたい事

現代社会の問題として、自殺者が出る「いじめ」はなぜ起こるのか?

「いじめ」そのものが、例えば教室の生徒全員の自己組織的な合意形成によって行われており、傍観者も「いじめ」を容認することにより、閉鎖的で不可視性の高い空間、教室で悲劇は起こる。「いじめ」も「自己組織性をキーワードとした、合意形成過程」であり、ポジティブ・フィードバックにより更に、堅固な「いじめっ子のイメージ」がクラス全員で共有される。

小学生、大学生、成人に対する質問紙調査で、統計的に、いじめが起きやすいクラスでは、「付和雷同」「規律結束」の2大因子が抽出された。
つまり、クラスの何となく共有されたターゲット(いじめられる側)に皆同調し、クラスの結束が堅固なほど、いじめは起きやすい。つまり、「纏まりのあるクラス」と肯定的な評価を外から受けている教室でこそ、それに従わない者に対する制裁は大きい。

これを解決するためには、その閉鎖空間を破り、風通しを良く、すなわち教諭や保護者、他のクラスと交流できるようにするしかない。

内 容

1.「いじめ」とは何か

2. 「いじめ」に関するアンケート調査結果
・「いじめは無くなるとは思わない」(特に大学生に顕著)
・「快感だから」の回答に衝撃
・「いじめ」が起こる時のクラスの状況の主成分分析
 付和雷同の因子/規律結束の因子

3.「いじめ」発生のメカニズムの理論化 イメージ・ダイナミクスモデルの適用
・初めは小さな「ゆらぎ」→ まず数人で悪口 → クラス内は傍観者
・「いじめられっ子」のイメージの共有(自己組織性)
・ポジティブ・フィードバックにより、優勢なイメージが確立
・そのクラスでの合意形成過程
・地域イメージのイメージ・ダイナミクスモデルとの違い
閉鎖的な空間/不可視性の高さ
・情報は外(教室外)に発信されない

4. 「いじめ」を初期段階で発見、可視化を図る → 外からの介入が重要

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