厚生労働省「国民生活基礎調査」(2022年)によると、日本の子どもの貧困率は11.7%。その中でもひとり親世帯の貧困率は44.5%とさらに高く、こども2人につき1人が貧困家庭であることがわかります
子どもの貧困による問題は、食べ物や生活に必要なものが買えないだけでなく、十分な教育が得られないため、その子どもも将来的に貧困層となり、貧困の負の連鎖が起こることにあります。
また、貧困層にある家庭では、ネグレクトや虐待、ヤングケアラーなど、家庭だけでは解決できない根深い問題を孕んでいます。
全ての子どもが安心安全の環境で健康な生活を送れ、十分な教育の機会を提供できるためにも、今一度、地域全体で子どもを育てるという風土を再構築する必要があります。
そこで、本記事では、子どもの貧困を考える講演プランをご紹介します。児童養護施設出身者やヤングケアラーなどの当事者、子ども食堂など子どもの支援者から生の声を聞いて、私たちができる支援について考えてみませんか?
■目次
- 湯浅 誠 『子どもの貧困と日本社会 ~つながりの中で生きる~』
- 石川結貴 『子どもたちの見えざる貧困 ~ネット社会で潜在化、深刻化する現状について』
- 秋山宏次郎 『【こども食堂とSDGs】なぜ海洋プラスチック問題から住み続けられる街づくりまでがこども食堂の支援で解決できるのか』
- 島田妙子 『子ども達の笑顔を守るために私たちができること』
- 岡本工介 『「ただいま~と言える子どもたちの居場所づくり」~高槻富田における学習支援・子ども食堂・夕刻を支える場の実践から~』
- 高橋美江 『「言えない苦しみ」を抱えている少年少女たち』
- 大庭美代子 『子どものための居場所について考えよう』
- 山本昌子 『教育現場への児童養護施設での経験に基づく知識の共有』
- 坂本博之 『僕は運命を信じない』
- 佐野翔音 『すべての子どもたち、親子が幸せに暮らすために ~今、私にできること 【映画 『こども食堂にて』上映&監督・佐野翔音 講演会】』
湯浅 誠 ゆあさまこと
社会活動家 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 経済同友会会員 認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長
子どもの貧困と日本社会
~つながりの中で生きる~
1990年代よりホームレス支援・生活困窮者支援に従事し、2018年全国のこども食堂を支援するための「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」を設立した湯浅 誠さん。「こども食堂が提供するものは、貧困対策だけでなく交流や体験といった「つながり」を提供する場」と語る湯浅さんが、こども食堂の体験を通じて感じた「子どもの貧困問題」に触れ、”周囲の大人ができること”について会場の皆さんと一緒に探っていきます。
講師ジャンル
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福祉・介護、 人権・平和 |
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主催者様からの声
コロナ禍の影響でつながりを持ちづらくなった昨今、地域の居場所としてのこども食堂の役割などについても話され、多くの気づきを頂くことができました。
石川結貴 いしかわゆうき
ジャーナリスト
子どもたちの見えざる貧困
~ネット社会で潜在化、深刻化する現状について
子どもの7人に1人が貧困状態にあると報告され、社会的に大きな問題となっている「子どもの貧困」。それに加え、ネグレクトや関係性の断絶、正しい知識を得られない機会の貧困が深刻化し、特にネット社会においては子どもが犯罪や搾取の対象となるケースが増加しています。この講演では、表面に現れにくい子どもの貧困の実態を解説し、子どもたちを守るための具体的な対応策や新たな取り組みについて考察します。子どもの貧困問題に対する理解を深める貴重な機会です。
講師ジャンル
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福祉・介護、 教育・青少年育成、 男女共同参画 |
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主催者様からの声
基調講演とパネルディスカッションがセットで行われ、また、会場からも質疑が出され、これまでと違って、大変良かったという声を聴きました。また、内容的には、SNSなど子どもだけでなく保護者自身もいろいろと考えさせられる身近な話題だったので、今後も子育て、自身の生活に参考になったと思います。
秋山宏次郎 あきやまこうじろう
こども食堂支援機構 代表理事 Forbesオフィシャルコラムニスト SDGsオンラインフェスタ実行委員長 一般企業会社員(正社員)
【こども食堂とSDGs】
なぜ海洋プラスチック問題から住み続けられる街づくりまでが
こども食堂の支援で解決できるのか
こども食堂支援機構代表理事の秋山宏次郎さんが、こども食堂とSDGsとの関係性について解説します。こども食堂は貧困対策にとどまらず、企業や個人が様々な方法でSDGsに貢献できるプラットフォームです。企業が無料または低コストで参加できる取り組みや、海洋プラスチック問題や防災対策など幅広い分野での連携事例を紹介し、住み続けられる街づくりに貢献する具体的な方法を提案します。
講師ジャンル
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人権・平和、 意識改革 |
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主催者様からの声
子ども食堂と「SDGS」の関係性と違った視点で、子ども食堂の役割を話していただきました。話題も理解しやすく、子ども食堂への関心度も上がったと実感しています。
島田妙子 しまだたえこ
一般財団法人児童虐待防止機構オレンジ CAPO 理事長 株式会社イージェット 代表取締役会長 兵庫県児童虐待等対応専門アドバイザー
子ども達の笑顔を守るために私たちができること
児童虐待防止機構オレンジ理事長の島田妙子さんが、自身の体験を交えながら、児童虐待やDV防止に向けた具体的な取り組みを紹介します。虐待に至らなくても、身近な人に当たってしまうことや、自己肯定感を失った子どもたちへの支援の重要性を強調。子どもたちが自己決定力や自己実現力を育むために必要な方法を、アンガーマネジメントや罪悪感解消プログラムを交えて詳しくお伝えします。また、いじめ防止や健全な対話の方法についてもお話しします。
講師ジャンル
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人権・平和、 教育・青少年育成、 メンタルヘルス |
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主催者様からの声
講演を通じて、自分を見つめ直すことができ、何かできることがないか考えるきっかけになりました。
岡本工介 おかもとこうすけ
一般社団法人タウンスペースWAKWAK 業務執行理事 兼 事務局長 環境教育事務所Community of Trees主宰
「ただいま~と言える子どもたちの居場所づくり」
~高槻富田における学習支援・子ども食堂・夕刻を支える場の実践から~
被差別部落出身というルーツを持ち、現在は社会的包摂の実現に向けまちづくりに携わる岡本工介さん。高槻富田での子ども食堂や学習支援、夕刻を支える場の実践を通じ、子どもの貧困問題を超えていくための地域居場所づくりの重要性を語ります。「ひとりぼっちのいないまち」を目指し、地域や家庭、学校、行政、企業との連携を強化しながら、子どもたちが「ただいま」と言える居場所の提供を目指す取り組みを紹介。地域で子どもを育むためのヒントを伝授します。
講師ジャンル
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人権・平和、 教育・青少年育成、 福祉・介護、 文化・教養、 コミュニケーション |
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主催者様からの声
アンケート結果から、当日の講演内容について、9割近くの方から参考になったとの回答をいただけており、また、たくさんの方から参加して良かった旨の感想をいただきました。それらのことを踏まえると、受講者の方に大きな影響を与えていただけたと思います。
高橋美江 たかはしみえ
美容師/Hair Dresser TiCA オーナー 元ヤングケアラー当事者 子ども食堂「まほうの食堂」主宰
「言えない苦しみ」を抱えている少年少女たち
障がいを持つ両親のもとに生まれ、小さいころからヤングケアラーとして育った高橋美江さん。自分自身が受けた幼少期のいじめや苦悩、障がい者の親へ頼る事の出来なかった子供時代の心の拠り所、誰にも知られたくない事実を隠したフラストレーションなど、小さいころの体験を赤裸々にお伝えします。当事者の立場から、周りの大人たちにどのように接して欲しかったか、また今大人の自分がそんな世代とどのように接しているか、わかりやすくお話します。
講師ジャンル
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福祉・介護、 人権・平和、 コミュニケーション、 経営戦略・事業計画 |
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主催者様からの声
会場において、私の座席の目の前の受講者が涙しているのを目の当たりにして、今回の講演が相当、心に響いていると感じました。ヤングケアラーという言葉は知っていても、その実状を見聞きすることはなかなかない中で、今回の講演が果たした役割は大きかったと思います。
大庭美代子 おおばみよこ
助産師・保健師・看護師 居場所作りプロジェクト あゆみYELL 代表
子どものための居場所について考えよう
自身の産後鬱経験を機に、40代で助産師・保健師・看護師各国家資格を取得した大庭美代子さん。幼少期にヤングケアラーを体験し、今は、地域全体で子どもを育てるという考えのもと、居場所作りプロジェクト等の活動を行っています。本講演では、ヤングケアラーの体験や居場所作りプロジェクト等の活動を通して、子どもにとっての居場所の重要性を語ります。講義とワークを用いて、支援が必要な地域の子どもたちに何ができるのかを考えていきます。
講師ジャンル
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教育・青少年育成、 福祉・介護、 医療・福祉 |
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主催者様からの声
大変な子ども時代を過ごしているにも関わらず、しっかりと現状を見据え、現在は子どもたちの支援を行っていらっしゃり、その生きざまが素晴らしいと感じました。会場でも多くの拍手をいただきました。
山本昌子 やまもとまさこ
保育士 児童養護施設出身者 ボランティア団体ACHAプロジェクト代表
教育現場への児童養護施設での経験に基づく知識の共有
講師の山本昌子さんは、生後4か月から19歳までの乳児院、児童養護施設、自立援助ホームでの経験し、現在は保育士の傍ら、児童養護施設出身者の支援活動も行っています。本講演では、自身の経験を基に、教育現場で児童養護施設の子どもたちと接する際に役立つ知識と対応方法を共有します。児童養護施設の正しい知識を提供し、児童養護施設の子どもたちに対してどのような支援が必要で、大人の私たちは何ができるのかを考えていきます。
講師ジャンル
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福祉・介護、 教育・青少年育成、 男女共同参画 |
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主催者様からの声
先日の芸人のやすこさんのチャリティーマラソンで注目されたこともあり、多くの人が訪れました。児童養護施設での生の実体験や問題を直接当事者からきける貴重な時間となりました。支援を模索するきっかけになったのではないかと思います。
坂本博之 さかもとひろゆき
元プロボクサー SRSボクシングジム 会長
僕は運命を信じない
元日本ライト級チャンピオンの坂本博之さん。その輝かしい栄光とは裏腹に、子ども時代に親の虐待から児童養護施設で過ごし、過酷な苦労を経験してきました。本講演では、虐待で人間不信に陥った自らの体験を通し、信じられなくなった絶望から這い上がることが出来た経験談などを交えて、結果だけでなく、その過程の中で得られる大切なものがあることを伝え、今の子どもたちや将来に不安を抱える人たちに向けた熱いメッセージを届けます。
講師ジャンル
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教育・青少年育成 |
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主催者様からの声
自らの過酷な体験を自らの力で乗り越え、現在は、児童養護施設の子どもたちへの支援を行っている姿勢に、感銘を受けました。子どもたちにも熱い思いが伝わったのではないかと思います。
佐野翔音 さのしょうおん
映画監督(社会的養護がテーマの映画)
すべての子どもたち、親子が幸せに暮らすために
~今、私にできること
【映画 『こども食堂にて』上映&監督・佐野翔音 講演会】
児童虐待、子どもの貧困などのテーマを扱う映画監督の佐野翔音さん。2017年公開の映画『こども食堂にて』では、こども食堂を舞台にネグレクトや虐待、里親との関係性など、様々な社会的養護を受ける子どもの問題を描いています。本講演では、映画の内をベースに子どもを取り巻く厳しい状況に触れ、子どもたちが安心できる居場所づくりの重要性を提起します。社会的養護を受ける子どもたちを支えるために、今私たちにできることを一緒に考える場を提供します。
講師ジャンル
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人権・平和、教育・青少年育成 |
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主催者様からの声
今回は民生委員向けの研修で依頼しました。見た目ではわかりづらい子どもの貧困や虐待問題など子どもが抱える問題の深層に光を照らし、何をすべきなのか、導いていただけました。「とても有益な時間となった」という声を多くいただきました。
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