IT技術の進化は、ビジネスの世界に新たな脅威をもたらしました。企業はサイバー犯罪のリスクにさらされています。セキュリティツールなどの導入に加えて、社員一人ひとりの意識向上も急務となっています。

今回は情報セキュリティ研修が求められる要因や、その効果・内容についてまとめました。またおすすめの研修プランも紹介します。

過信は禁物、いま情報セキュリティ研修が必要な要因

現在、研修によって社員への正しい知識浸透や意識向上を図ることに関心が高まっています。ここではその5つの要因を解説します。

要因1.サイバー脅威の増加と複雑化

近年のサイバー犯罪は巧妙かつ複雑です。例えばテレワークが一般化したことに目をつけ、オンライン会議への招待メールを装って、不正サイトへ誘導するケースなどがあります。

情報処理推進機構(IPA)が2023年に発表した「情報セキュリティ10大脅威」によると、「企業にとっての脅威」として、第1位に「ランサムウェア(企業データやシステムにロックをかけて金銭を要求する不正プログラム)による被害」、第3位に「標的型攻撃による機密情報の窃取(実在する取引先や人物名などを装ったフィッシングメールなど)」などがあがっています。

要因2.法規制とコンプライアンスの強化

社員の過失や不正、ずさんな管理による個人情報流出といった問題も後を絶ちません。

こうした事態を処罰の対象としているのが、2005年に全面施行された「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」です。また2015年には「サイバーセキュリティ基本法」が施行されました。この法律は、日本の企業や官公庁における、セキュリティ戦略強化の基本的事項を定めています。

こうした法律整備の影響で、現場でも情報コンプライアンスの意識が高まりつつあります。

要因3.人的要因によるリスクの高さ

近年のサイバー犯罪の特徴の1つが、管理者のふりをしてパスワードをなどの情報を盗み出すなど、人間の心理的な油断やミスにつけ込む「ソーシャルエンジニアリング」という手口です。この種の犯罪では、Tリテラシーのない社員がターゲットになりやすい傾向があります。

また単純に顧客データが入った端末を紛失したことにより情報漏洩が起きた事例も多数あります。セキュリティ事故のリスクは、システムよりも人にあるといえるでしょう。

要因4.リモートワークの普及

リモートワークが普及した現在では、個々の社員の知識と意識レベルを向上させなくては、十分なセキュリティ強化の効果は望めません。例えばカフェや新幹線の車内などで作業をしているとき、PC画面にロックをかけずに離席してしまうなど、一瞬の気の緩みが深刻なトラブルにつながります。

なおこうした現状をふまえ、総務省でも「テレワークセキュリティガイドライン」を発表するなど、企業に必要なセキュリティ対策の啓発・支援を行っています。

要因5.企業ブランドや社会的信用の維持

もしも十分な対策を取らずに社員が不注意や知識不足から情報漏洩を起こせば、企業の社会的信用は失墜します。取引先や一般消費者も、情報管理がずさんな企業には安心して自身の情報を提供することはできません。

顧客や一般消費者からの信頼を維持するためにも、セキュリティ研修は有効です

情報セキュリティ研修の導入企業が得られるメリット

情報セキュリティ研修は、多くの企業でそのメリットが認められています。ここでは主な3つのメリットについて解説します。

①セキュリティ事故を未然に防ぐ

まず第一に、何よりセキュリティ事故を防ぐ効果につながります。

セキュリティ事故の過去の実例を学ぶことで、セキュリティに関する知識不足が企業や取引先、顧客などに及ぼすリスクなどを理解し、適切な行動を取れるようになります。

例えば最新のサイバー犯罪の手口を知っていれば、受信したメールがフィッシングメールであることにいち早く気づき、すぐに周囲に情報共有することができます。

②組織全体のセキュリティ意識が高まる

直接的な原因が本人の過失か悪意ある第三者からの攻撃かにかかわらず、たった1人の社員の油断や隙が、企業のシステム全体に悪影響を及ぼすこともあります。
そのため、セキュリティ研修はすべての社員を対象としなくてはなりません。なぜならセキュリティリスクは全員に関係するからです。例えば、フィッシングやマルウェアに対する防御は、全員が関与することでより堅牢なものになります。

全員参加のセキュリティ研修を開催することで、組織全体のセキュリティ意識が向上します。

③サイバーセキュリティ専門人材を育てる

またサイバーセキュリティ専門人材を育てる効果も外せません。

総務省は情報通信白書(2022年版)において、「サイバーセキュリティの専門人材は量的にも質的にも不足しており、育成が急務であること」を指摘しています。

セキュリティ研修には、一般社員対象のものとは別に、より高度な内容で専門人材を育成するコースがあります。

SBのセキュリティ研修おすすめプラン

最後に、当社がおすすめするセキュリティ研修プラン10選をご紹介します。研修をお考えのご担当者様は、ぜひ参考にしてください。


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大西信次

株式会社ブレインワークス
セキュリティサービス事業部長

中小企業のセキュリティ対策

企業でセキュリティサービス事業部長を務める講師が、現代のセキュリティ事情を分かりやすく解説します。個人情報保護法対策や、実践的な人的セキュリティ対策について学べる人気のプランです。


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大村 優

報セキュリティウォッチャー
前 警察庁情報通信局長

情報セキュリティは万全ですか?~ネットワーク社会に忍び寄る影~

前警察庁情報通信局長である大村氏から、現代のサイバー犯罪・サイバーテロ・情報漏洩のリスクについて学びます。まずは実際の事例から危機意識を高めることを目的とし、講師がこれらへの具体的な対策を解説していきます。


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落合哲美

情報セキュリティ戦略コンサルタント

今のままでは危ない!90%の会社が知らずにはまる
情報セキュリティ対策の落とし穴 こうすれば守れる明日から行うセキュリティの鉄則10カ条

情報セキュリティ戦略コンサルタント講師による参加型の情報セキュリティ研修。組織の意識向上や仕組みづくりに重点を置いた、経営者向けのプランです。自社の弱点を洗い出す自己診断シート記入などの演習も受けられます。


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金子清隆

マネジメントコンサルタント

情報セキュリティ10大脅威と注意点

マネジメントコンサルタント講師による、管理職やリーダー向けの情報セキュリティ研修です。IPAが発表した「情報セキュリティの10大脅威」について分かりやすく解説し、情報事故を起こさないための具体的な方法を伝授します。


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木原 潤

システムコンサルタント
ISMSコンサルタント

情報セキュリティ入門 セミナー 「基本を理解し身近な対策」

システムコンサルタント講師による情報セキュリティの入門講座。ITの専門知識のない部署やビジネスパーソンを対象とした基礎的な内容で、身近な情報セキュリティとその対策について学ぶことができます。


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久保田浩二 

ITコーディネータ
IT経営コンサルタント

今こそ見直そう「個人情報保護」と「情報セキュリティ」
~これだけは守りたい中小企業のセキュリティ対策~

IT経営コンサルタント講師による、中小・零細企業向けの情報セキュリティ研修です。昨今の個人情報保護や情報セキュリティの対策で、「最低限これだけは押さえておきたい」というポイントをお伝えします。


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篠原嘉一

NIT情報技術推進ネットワーク株式会社 代表取締役
大阪府教育委員会ネット対応アドバイザー

安心して使う為に知っておきたいネットのリスク~リモートワーク時代の注意点~

大阪府の教育委員会ネット対応アドバイザーである篠原氏は、子ども達の心身に深刻な影響を与えるITのリスクについて、教育関係者のみならず事業者とも連携して被害防止のための取り組みを行ってきました。この研修では、リモートワークで注意すべき情報セキュリティについて、分かりやすくお伝えしています。


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中村健児

元 警視庁サイバー犯罪捜査官
合同会社デジタル鑑識研究所代表

元警視庁サイバー犯罪捜査官が教えるサイバーセキュリティ

元警視庁サイバー犯罪捜査官による、サイバー攻撃に特化した研修です。IPAも10大リスクとして挙げるランサムウェアへの対策などを中心に「中小企業が今知っておくべき具体的な情報セキュリティの施策」を学ぶことができます。


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新倉茂彦

セキュリティプロデューサー
有限会社ティーシーニック代表取締役

45の事例から知る「五十音・情報セキュリティ研修」【内容:基礎 / 対象:一般社員】

セキュリティプロデューサーによる、専門知識のない一般社員にも分かりやすく、基礎的なレベルの研修プランです。日常的なビジネスシーンでの事故事例や、端的なセキュリティ標語によって、誰もが身近に感じられる内容となっています。


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三上 洋

ITジャーナリスト

企業セキュリティ:最新事例と対策

ITジャーナリスト講師による、経営者やセキュリティ担当者を対象とした専門的な内容の研修プランです。サイバー攻撃や情報漏洩、さらには内部不正などのリスクについて徹底解説します。

情報セキュリティ研修で学べる主な内容

情報セキュリティ研修にはさまざまな内容があります。ここでは一般的な5つのテーマについて詳しく解説します。

情報セキュリティの原則と概念

まずは情報セキュリティの基本的な概念や対策の原則など、知っておきたい基礎知識を身に付けます。

サイバー犯罪の傾向や用語の解説、個人情報保護法のポイントなどについて、講義形式で学んでいきます。

動画を用いたセキュリティ事故事例

セキュリティ研修では、具体的事例を紹介する動画を活用する場合もあります。IPAや、ウイルス対策ソフトを販売するトレンドマイクロ社なども、一般向けの教育動画を公開しています。

ドラマ仕立ての動画などは、セキュリティ事故の脅威を分かりやすく伝えてくれるため、多くの研修プログラムで事例動画教材を取り入れています。

身近に潜むヒヤリハット事例

情報の流出は、実はその原因のほとんどが社員の些細なミスによるものです。日本ネットワークセキュリティー協会の2018年の調査によると、原因の6割以上が「メールの誤操作」や「書類・端末の置き忘れ」といった人為的ミスとなっています。

例えば、2022年に自治体の再々委託先業者の男性が、全市民の個人情報入りUSBメモリーを紛失したことが大ニュースになりました。鞄に入れたまま飲食店に置き忘れていたのです。こうした事例を知ることで、情報流出のリスクは誰にでも起こり得るということを学びます。

個人情報保護法に代表されるセキュリティ関連の法律

情報セキュリティ研修では、個人情報保護法やサイバーセキュリティ基本法のほか、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」、「不正アクセス行為の禁止などに関する法律(不正アクセス禁止法)」について学びます。

今後も技術の進化や社会の変化に伴って関連法も見直される可能性があるため、最新の内容に基づいた注意点を学びます。

被害を最小限にするシステム構築やインシデント対応

セキュリティ担当者のための高度な研修では、サイバー攻撃の代表的な手法やその対策を習得します。具体的には、ファイアウォールの技術や、不正アクセス侵入検知・防止システムの構築・管理方法などです。

また担当者は実際に事故が起きてしまったときの被害を最小限にとどめる責任があります。したがって初期対応や影響範囲の特定、注意喚起などのインシデント対処法についても学びます。

企業の信頼保持のためにも定期的な情報セキュリティ研修を

DX化やリモートワークが普及し、便利になった反面、企業は常に情報漏洩やウイルス、ランサムウェアなどの脅威にさらされています。このようなIT犯罪はどんどんと巧妙化しており、新しい手口やウイルスも出てきています。
企業の信頼保持のためにも、定期的な情報セキュリティ研修をおすすめします。
弊社では情報セキュリティの専門家講師が多く在籍しております。企業課題に応じた講師や研修テーマをご提案できますので、お気軽にご相談ください。

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