「モヒカン先生」の愛称で知られる人材(財)育成のパイオニア・生駒俊介さん。
子供時代には新聞配達を経験し、大手デパートのジュエリー部門で16年間勤務し、2000年にジュエリー販売会社を設立。毎年3億円の売上を出す利益体質の会社であったにも関わらず、人材育成で問題を抱え、人材育成スペシャリストの道へ。
波乱万丈な人生でありながら、「人と被らないこと」という独自性をモットーに、多くの受講生に勇気と元気を与えてきた”モヒカン先生”にインタビューを敢行しました。
モヒカン先生ができるまで、そしてモヒカン先生の永遠のテーマである「営業力」と「人材(財)育成」のヒントについてお聞きしました。

■目次

父親の厳しく温かい教えを受けた子供時代

――生駒さんは子供時代に新聞配達をされていたようですが、どのような経緯があったのでしょうか?

生駒 小学4年の頃、新聞配達をしている人を見かけてなぜか「カッコいい」と思ったんですね。それですぐに近くの新聞集配所に行って「雇って」とお願いしましたところ、「両親は知ってるのか?」というように言われて、家に帰り、母親に聞いてみました。母から「お父さんに聞いてみなさい」と言われ、父の帰りを待つことになりました。

当時、父親は大手商社の営業部長をやっていて、いつも終電で帰ってくるような生活で、平日は父の姿を見ることはありませんでした。その日、僕は遅くまで起きて父の帰りを待っていました。

深夜に父が帰宅しました。母が「俊ちゃんが何か話したいことがあるらしい」というと少しびっくりした様子でした。

父の前に座って「僕、新聞配達をしたいねんけど…」と話しました。すると、父は「新聞配達をするからにはお金がもらえるということだよな」と言いました。僕が「もらえるかもしれん」と答えると、「お金をもらえるのはどういうことか知ってるか」と聞いてきました。

僕がぽかんとしていると、「紙を持ってこい」と父。近くにあったチラシを渡すと、父はチラシの裏に万年筆で「対価」と書き、「対価の意味を知ってるか?」と僕に聞きました。
小さい自分が答えられずにいると、父は「何かやったことに対して価値が付き、それに相当する報酬(お金)をもらうことなんだぞ」と言いました。

すると次に「その対価の裏に何があるか知ってるか?」と聞きました。対価の意味もわからない僕がその裏にあるものなんてわかるはずもありませんよね。黙っている僕を見て、父は「対価」と書いてあるチラシの裏に「責任」と書きました。

対価の裏には責任がある。責任を果たすことで対価がもらえるんだ。例えば、毎朝6時に〇〇さんのところに朝刊を届けるのがお前の役割なら、その役割を果たすことがお前の責任だ。それは社会に対しての責任であり、責任を果たすことで初めて報酬をもらえるんだ」

父がそう言いました。小学4年の頭には全てを理解できませんでしたが、父は「それをわかった上でやる覚悟があるのか」と聞いてきました。当時、僕は粋がっていたので「やる」と即答。「いつまでやるんだ」という父に対して、「小学校卒業するまで」と宣言しました。父は僕の方を見ながら、母に「明日、新聞集配所にいって、息子が新聞配達を小学6年までやると言っているので…雇ってくれるようにこちらから頼んできてくれ」と言いました。

さっそく、翌日、母と一緒に新聞集配所に行って、その次の日から新聞配達をすることになりました。

――早朝の新聞配達は辛かったのではないでしょうか?

生駒 正直、3日過ぎてから「何でやるって言ったのだろう?」と後悔しました(苦笑)。朝5時に起きて、新聞を数えて防水の効いた布に巻いて、それを自転車の荷台につないで配るわけですよ。雨の日もあれば雪の日もあります。雨の日に新聞を荷台に載せようとして地面に落としたことがあって、集配所のおっちゃんに怒鳴られて新しい新聞をもらったこともあります。

何度も辞めたいと思いましたが、父との約束を破るわけにはいかないので、石にかじりついて3年間頑張りました。

やっているうちに、いいこともありました。小さな子どもが頑張ってる姿を見て、近所の人が夏の暑い日にカルピスなどの飲み物をくれたり、新聞ボックスの上にアンパンが置かれていたり…。もちろん物がほしくてやっているわけではなかったのですが、そうやって評価されていると思うと大変ありがたく、心に染みた経験もさせてもらいました。

それに加えて、夏休みの作文に新聞配達のことを書いたら、何と表彰されまして、景品もいただきました(笑)。他の子と題材が被らなかったことが、表彰された理由だと思います。この時の知恵は今の仕事でも生かされています。いかに人と被らないことをするか。それを考えながら、仕事をしています。このときの経験がその後の生き方に大きな影響を与えていると思います。

――当時、よくお父様が新聞配達を許可されましたよね?

生駒 そうですね。うちは姉2人と息子が僕一人でしたから厳しく育てられました。しかし、自分も今、親という立場になり、父親の厳しさの裏には優しさがあったことがわかるようになりました。というのも、我が子を甘やかすことは簡単ですが、甘やかすことでその子が自分で立って生きていく力を奪ってしまうことにもなります。今更ですが、父は僕に自分で生きていくすべを教え込んでくれたんだと思います。本当に感謝しております。

「人を成長させる」それが真の人材育成

――ジュエリー会社を経営している時に人材で苦労されたと伺っています。どんな点が一番大変だったのでしょうか?

生駒 最初は2名ほどで始めた会社でしたが、そのうち売上も増え、十数名という社員を抱えるまでになりました。経営者としての業務もあり、時間がなかったもので、社員にはただ売り方だけを教えていました。なるべく兄貴や友達のように振る舞いながらも、ある部分はドライな関係でした。

そんな中、朝会社に行って社員に「おはよう」と挨拶しても返事をしてくれなくなりました。それなりの給与もボーナスもしっかりと渡していて、経営者としての役割はやっていると思っていたので、社員がなぜそんな態度を示すのかわかりませんでした。あまりにも社員が無視するので、いたたまれなくなって、会社を出て銀行に向かいました。銀行の窓口で、「自分は何をやってきたんだろう」と初めてこれまでのやり方を反省しました。

僕はサラリーマン時代、課長を経験しましたが、その時、部下とは同じ社員の立場として一緒に仕事を頑張ってきました。ところが、その時とは立場が変わっています。自分は経営者であり、経営者として社員は僕に何を求めているのだろうということを考えました。
答えがわからず、結局経営者の先輩に相談しました。するとその方から「生駒さんもその昔は社員だったろう…社員の立場に立って考えてみればわかることだよ! お金だけで人の心は動かせるのか?」と言われました。大変な衝撃を受けましたね。

これまでのそのやり方で成功してたので、この方法は正しいと自負していました。しかし、それではだめだったのです。まずはこれまでのやり方を否定するところから始めなきゃいけない。これが本当に辛かったです。

悩んで悩んだ挙句、社員は僕にお金ではなく、経験や知識、スキルや考え方といった自己の成長を望んでいることに気づきました。そう考えると、「社員を育成する」という経営者の責任を果たしていなかったことに気づいたんですね。

そこから、「人を育成する」ために何が必要かを考えて、人材育成という方にシフトチェンジしていきました。

――具体的にはどのようなことを行ったのでしょうか?

生駒 まずは社員に謝罪しました。「これまでのやり方を改めるから、もう一度チャンスをくれ」と。色んな人材育成の本を読み漁り、社員一人ひとりとたくさん話す機会を設けるようにしました。これまでは一方的にやることを指示するだけでしたが、「なぜしなければならないのか」逆に「なぜしてはならないのか」を考えながら伝えるよう意識を変えました。全くの我流でしたが、それが功を奏し「なぜ」に注視して伝えることで、社員達は指示されたことの「目的」が理解できるので、こちらの意図をくみ取って行動してくれるようになってくれました。

例えば、当時経営していた会社には、金庫があったのですが、貴金属の並べ方が決まっていました。それまでは「この順番で並べて」とだけ指示していたのですが、忙しくなるとなかなか順番を守られなくなり、どこに何があるのかわからない状態になるわけです。
毎日のように百貨店から問い合わせがあるたびに探すのに時間がかかり、全く効率が悪かった。それに対して、僕は「何で守れないんだ」と怒っての繰り返し。堂々巡りなわけです。

それで、「なぜ、そうするべきなのか」を説明しながら指示を出してみました。
「皆が同じ並べ方を知り、そのように並べることで、百貨店からの引き合いがあった時にすぐに取り出せる。そうすると、お客様をお待たせする時間も短くなるし、それが販売につながるかもしれない。だから、この順番は守るようにしよう」といった具合です。
それを何度も何度も耳にタコができるくらい言い続けました。

そうすると、社員としてもやはりその方が効率よいと考えて、皆が意識的に守るようになりました。
理由を筋立てて細かくかつ浸透するまで何度も話す
それが人材育成における伝え方の基本だと思います。

――「人を育てる」というのは、社員一人ひとりの目標やゴールを決めて、時にはモチベーションを上げたり、叱咤激励したりしながら、社員の成長を見守っていかなければなりませんよね。

生駒 そうなんですよ。ただ、目標と目的の相関関係があって、その会社に入った目的は社員一人ひとり異なります。目的があって目標を設定するわけですから、目標を立てて日々の業務をやっているうちに、目的を見失ってしまうこともよくあるんですよね。

例えば、自社の商品が好きで自社の商品の良さを皆に知ってもらいたいという目的があって、営業部に配属された新人がいたとします。その時に、今月の売り上げ目標を立てます。営業に行くと、売上目標だけを気にするようになり、本来「自社の商品の良さを知ってもらう」という目的を忘れがちになってしまいます。目標を達成するプロセスでは、目的を見失わないことが不可欠です。

部下とともに「なぜ」を考える、中間管理職の役割

――育てるべき社員が増えれば増えるほど、目が行き届かなくなるような気がします。

生駒 そのために上と下のつなぎ役となる中間管理職の方々がいらっしゃるわけですが、最近、コロナ禍でそのような方々から「うまく部下に指示を出せない」といった相談を受けるようになりました。会社側もその点はかなり深い問題だと認識され始めておられますが…。会社で毎日のように顔合わせできていた頃には、上司と部下の間のクッション役となり、それぞれの表情を見ながら適切なタイミングで両者の意見を調整し、スムーズなコミュニケーションをとれていました。

ところがコロナ禍で在宅ワークが増え、部下へのケアが行き届かない状況が出てきた。上司から今まで通り要求されるが、部下に上手に伝えることができず「何をやればいいかわからない」という声も聞かれるようになり、どのように導けばいいものか…と悩んでいらっしゃるようです。

そんな時、僕は会社の理念や行動指針、スローガンを読み直して、導くようにと伝えています。例えば、ある会社に「社会に誠実であれ」という理念があったとします。部下が上司に「やってもいいですか」と聞いてきた行動に対して、「その行動は社会に誠実であるのか、結果的に企業としての社会的責任を果たしているのか」と質問します。

その時に注意したいのが、自身も「それを一緒に考える」というスタンスでいることです。ただ、疑問を投げかけるだけでは、経験値の少ない部下は答えに行き着けません。「わからない」まま終わると、自分の成長を感じられずに離職につながることも考えられます。中間管理職の立場でアドバイスを出しながら、一緒に答えを見つけていく。そんな発想ができる人材が、アフターコロナでも求められているように感じます。

――確かに、部下の立場だったら、「一緒に解決していく」というスタイルは非常に心強いですよね。

生駒 このことは営業の場面でもいえることだと思います。ただお客さんに「買ってください」と言うのではなく、お客さんの立場となり、その商品はお客様にとってどんな利益をもたらし、問題解決へと導けるのか。そして、どうすれば最終的に明るい未来を見せられるのか?そのようなことを考えて提案することで、お客さんの心に響き、買いたいと思わせる行動につなげることができます。
つまり、お客様の立場で、一緒に問題解決していくこと。それが、成果に結びついていることを経験として感じています。

営業にはお客様目線で一緒に問題を解決していく姿勢が必要

――営業に必要なものは、お客様の立場で考える「共感力」ということなのでしょうか?

生駒 そうですね。ただ、営業力には会話術も重要で、僕はそれを「キラー会話術」と呼んでます。お客様と話すときは、自分はそうでないと思っていても、とにかく最初は肯定することから入ること。共感力とはちょっと違います。

営業力の第一歩として、お客さんとの心の距離を埋めることをしなければなりません。そのために、「そうですよね」「確かに」など肯定する言葉を用いることで、相手の自己肯定感を満たすことができ、心の距離を少し縮めることができます。

――確かに、だれしも自分を肯定されると嬉しいものですよね。それでは、生駒さんが考える「良い接客」とはどんなものでしょうか?

生駒 一言でいうのは難しいのですが、そのテーマを考える時、僕は「接遇」と「接客」の違いを考えます。「接遇」とは言葉遣いや礼儀マナー、挨拶などの形式的なもの、「接客」はお客様に気持ち良くお金を支払ってもらうためのスキルと言っています。

例えば、お店に行くと接客係が口を揃えて「いらっしゃいませ」という声掛けをします。しかし、その挨拶は形骸化していて、お客さんの心を動かすことは皆無と言っていいでしょう。それよりも、例えばファッション好きでお洒落なお客さんが入ってきたら、「いらっしゃいませ」の代わりに「そのワンピースかわいいですね。〇〇の新作ですか?」など、お客様の自己重要感を満たすような声掛けをしてあげます。すると、お客様との会話が一期につながりやすいことがあります。

――やはり「自己肯定感」や「自己重要感」というところがキーワードですね。お客様の価値観を瞬時に察知して、それを肯定するような言葉で始めることが大切なんですね。

生駒 そうですね。僕は現在、大手携帯電話店舗の営業研修を担当していますが、そこでは「いらっしゃいませ、こんにちは」という挨拶をするのが常例で、お客さんの反応が良くないと相談をいただきました。そこで、僕は、次からは「こんにちは、いらっしゃいませ」と言葉を反対にして挨拶するように伝えました。

受講生は「そんなので(お客様の反応が)変わるの?」と疑心暗鬼でしたが、次の研修で「お客様の反応がものの見事にがらりと変わりました」と興奮気味に話してきました。日本人は昔から、「こんにちは」と挨拶をかけられたら、会釈したり、「こんにちは」と言い返したり、身体が自然に反応するように教育されてきました。だから最初に「いらっしゃいませ」と言われるより、「こんにちは」と言われると、ついつい条件反射で反応してしまいます。
その受講生は、「生駒さんすごいですね」と話していましたが、「僕はただアドバイスするだけで、実際に行動にうつしたあなたの方が素晴らしいんだ」と返しました。

――そこでも、相手への自己肯定感を大切にされているのですかね

生駒 そうですね。経営者時代にできなかったことを今しています。前述の金庫の話で、きちんと金庫が順番通りで整理されていたときも褒めることなく、それは当たり前だと思っていました。考え方を改めてからは、毎回「○○さんが整理してくれたの?ありがとう」とちゃんと評価して、相手の自己肯定感を満たしてあげるようにしました。すると、相手は喜んで、それからの社員の士気がより高くなりました。

自社の商品・サービスの価値をいかに伝えていくかが営業力の基本

――生駒さんは営業研修も実施されていますが、ズバリ、営業力とは何なのでしょうか?

生駒 かなり曖昧な言葉ですが、僕は営業とは「自社の商品・サービスの価値を伝えること」だと話しています。だから、営業力研修では「価値の伝え方を考えよう」という課題を出して、皆で話し合います。「物を売る」「契約をとる」というのは最終工程の話で、一番大切なのは、「商品の価値を伝えること」なのです。

――研修で「価値の伝え方」は具体的にどのように教えていらっしゃるのでしょうか?

生駒 例えば、お茶をスーパーに置いてもらうことがミッションだとします。その場合、まずは「このお茶を飲んだらどんな味わいがあるのか」「他のお茶と比べた時に自社のお茶が優れている点は何なのか」などお茶の価値を考えて、お得意先に価値を伝えます。その際の価値の伝え方の技術を学んでいきます。

次に顧客の立場に立って、相手が何を望み、どんな問題があって、どうしたら解決できるのかを考えます。
スーパーの商品担当者なら自店の売上を上げたいと考えているので、同じ立場になってPOPの内容や商品陳列など、よりそのお茶が売れ、その店の売上が上がる方法を考えていくのです。そうすると、「○○会社の営業さん」じゃなくて、「○○さん」と名前を覚えてもらえ、セルフブランディングにもつながります。

――営業力にはブランディングがつきものなのでしょうか?

生駒 そうですね。ブランディングから始める方が簡単に成果を出せます。僕は常々、「ブランド」と「ブランディング」の違いについてもお伝えしています。
「ブランド」とは、期待値と信頼です。お客さんはその商品・サービスに対して、期待値を持っています。その期待値を上回るリターンをしてあげることでお客さんから信頼を得るようになります。

「ブランディング」とはそのブランドの価値を上げていくこと。「ブランディング」にはマーケティングの知識も必要です。

――マーケティングスキルはどのように身に付けたらよいでしょうか?

生駒 そうですね。マーケティングに関する本を読んだり、研修に参加したりすることも有効かもしませんが、それよりも普段の生活でマーケティングの感覚を磨くことの方が有効だと考えています。
例えば、僕の研修では、お店に貼ってあるPOPやポスター、電車の中吊り広告など、街中に溢れる広告を見て、だれに向けて発信しているのか、そしてどのような表現手法を使っているのか、考えてみるように伝えています。そこからマーケティングのヒントが得られることも多くあります。

これまでのやり方を壊していく勇気

――日常生活でも「なぜ」を考えながら、マーケティングスキルを磨くことができるものなのですね。

生駒 そうですね、日常生活で常に「なぜ」と考える態度は自分磨きにもなります。
これは業務全般にいえることですが、通常行っている業務のやり方について、常に「なぜやっているのか」とちょっとした疑問を持つことも大切です。そのような感覚で業務に取り組むと、改善点が見えてきたり、人材の成長にもつながります。

――コロナ禍で、ニューノーマルの時代となり、売り方や買い方もかなり変化しました。そんなときにだからこそ、これまでのやり方を「なぜ」と突き詰める感覚が重要なのかもしれませんね。

生駒 成功体験が多い方ほど、それまで成功してきたことを否定しなければならなくなるので、この「なぜ」という感覚を持つのが難しくなります。
しかし、これまでの常識は通用しなくなった、それがアフターコロナの世界です。重要なのは、ここで凝り固まった常識や成功体験は一度リセットして、今、お客様が求めているのは何なのか、お客様の目線で考えることなのです。

例えば、外食企業が苦しい中、マクドナルドは業績を上げてきた。それはなぜか。
まず、Uber Eatsを早い段階で取り入れ、「ゲストエクスペリエンスリーダー」という接客担当スタッフを採用するようになりました。これまでマクドナルドはセルフサービスが主流でしたが、顧客ニーズの多様化により、高い満足度が得られなくなった。そこで、店舗に訪れる顧客のさまざまな要望に対応するゲストエクスペリエンスリーダーという接客担当を作ったわけです。カウンターの外でお客さんに声掛けをして、サポートしたり、会話をしたり、「おもてなし」中心の業務を行います。

コスト削減や業務効率化、非接触型の流れに逆行するような方法ですが、お客様目線で考えたことにより、このコロナ禍でも業績を上げることができた。人と人とのつながりが重要なサービス業で、全てをオートメーション化するのは無理な話ですし、それでは顧客満足度は下がります…。やはり「おもてなし」という部分は人でしか対応できない。

もちろん、マクドナルドでもモバイルオーダーやデリバリーサービスなど非接触型のスタイルに変えてはきたものの、「お客様の満足度」という点を重要視した場合、人件費がかかっても、人と人の心が通い合える「おもてなしリーダー」が必要であったと判断した。売り方の答えは、常にお客様の中でしかないということです。

目指すは「記憶に残る研修」

▲生駒さんの研修ではだれでも元気いっぱいに!(画像:ご本人提供)

――講演や研修で気を付けていらっしゃる点はありますか?

生駒 僕はサラリーマンを16年やってきて、それまで何度も研修を受けてきましたが、どの研修も記憶に残っていないんですよね。残念ながら…。だから、講師業をするにあたり、まずは受講した方々の記憶に残るようなやり方でやろうと思いました。すぐに使えるコンテンツは覚えてもらいやすいですが、今必要でないものは忘れやすい傾向にあります。それでも、後からでも思い返してもらえるような話やコンテンツ、伝え方を工夫して、「研修をただの研修で終わらせない、記憶(心)に残る研修」というところを目指しています。

――最後に、今後の夢を教えてください。

生駒 実は、僕にはちょっとした野望がありますが、話してもよいでしょうか。
それは、海の見えるリゾートホテルを買い取って、お客さんに生駒流の最高のおもてなしとサービスを提供できる施設を作りたいと思っています。もちろん、お客様に最高のサービスを提供していくことが第一の目的ですが、それだけに留まらず、ホテル関係者や接客業・サービス業で働く人々にもこの最高のおもてなしを体験していただきたいと考えています。生駒流サービスを学ぶことができる場所としても活用していきたいですね。
これまで僕が培ってきた全ての知識や経験をそのホテルで体現していきます。だれもが来たくなるようなホテル、誰もが働きたくなるようなホテルを創り上げることができれば最高です!

――人材育成がテーマのホテルでしょうか?今までにないスタイルなので、完成すれば、業界でかなり注目されることでしょう。生駒さんの今後の活躍に目が離せません。本日はありがとうございました。

▲「自分に自信がついた」と好評の講演(画像:ご本人提供)

生駒俊介  いこましゅんすけ

魔法の接客術®アドバイザー 人財育成型®研修講師 ビジネスコミュニケーションの達人

経営者・元経営者コンサルタント

大手デパートジュエリースペシャリストを経て独立、自身も毎年3億円を売り上げ、利益体質の会社を経営。また独自の販売技法『魔法の接客術®』考案など、伝説の研修講師としても知られる。「あなたの独自性を確認するためのワークシート」は特許取得。著書 『営業下手でも3億売る技術!』(クローバー出版)。

プランタイトル

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