オール1先生からのメッセージ
~いじめ見逃しゼロへ~

宮本延春 みやもとまさはる

エッセイスト、元 高校教諭、作家

想定する対象者

いじめの問題について、一緒に考えたいと思います。
いじめの問題は、子どもたちだけに押し付けて「さあ解決しなさい」と言っても、それは不可能です。
教師や保護者が、いじめというものを知り、常に「予防」「発見」「対応」を心がける必要があるものです。
この催しをきっかけにして、いじめについて考え、保護者と教師と子どもが、お互いに歩み寄れることを願っています。

提供する価値・伝えたい事

私は、いじめは犯罪と同じように、完全にゼロにすることは、とてつもなく困難なことだと思っています。
しかし、子どもたちの健やかなる成長を願うならば、この困難な問題に、保護者・教師・そして子どもたち、それぞれが互いに歩み寄り、力を合わせて、取り組んでいかなくてはならないと考えています。
どの子どもも、いじめの被害者・加害者になる可能性があり、いじめは決して他人事ではありません。誰にでも起こりうる問題です。
そして、子どもたちを被害者にも、加害者にもさせないために、最初にするべきことは「いじめを知る」ということです。
いじめの残酷さ、恐さ、どれだけ非人道的な行為なのか「知る」ことによって、「予防」や「発見」、そして「対応」というものに繋がるはずです。
子どもの心はとても繊細で傷付きやすいものです。また、ストレスも受けやすく、ときにそれが毎日まいにち積み重なれば、疲労骨折や低温火傷のように、大きなダメージとして表われてきます。
このことを知らないと、いじめの問題を解決するどころか、悪化させることになります。
もしかすると、子どもの話しを聴いて「何だそれくらいで、大げさだな」と思うこともあるかもしれませんが、それは心が健康な人のセリフです。
傷も怪我もない健康な皮膚に、どれだけ塩を刷り込んでも痛くありませんが、もしそこに大きな傷があったとしたら、どうでしょう……激痛を感じるはずです。
いじめに苦しむ子どもの言葉を聴くときは、どんなにささいなことであっても、真剣に聴かなくてはなりません。子どもの嗅覚は優秀です。「この人に言っても無駄だ」とすぐに見抜きます。そして、一度ダメだと思われたら、二度と気持ちを話してくれることはありません。

また、いじめの問題は、加害者を排除すればそれで終わり、というものではありません。
いじめの加害者には、いじめない更なる努力が必要になり、被害者には気持ちを言葉にする勇気が求められ、大人はそれを真摯に受け止める責任があるように思います。

単一的な方法で解決できるほど、いじめの問題は甘くありませんが、私の経験を元に一緒に考えたいと思います。

内 容

私自身が体験した「いじめ」は、学校生活から全ての灯を奪いました。

ひとりっ子で育った環境もあり、社交性に乏しかった私は、小学生の低学年から、いじられの標的とされるようになりました。
小学2年生のとき、給食費を脅し取られたのをきっかけに「いじめ」が始まりました。
辛い思いを抱え、その気持ちを親に話しても、先生に助けを求めても、全て逆効果にしかならず、誰にも気持ちを言えなくなり、耐えるという選択しか残っていませんでした。
中学を卒業するまで、ずっといじめは続きましたが、私にとって学校は、世界で一番大嫌いな場所となりました。

いじめが原因で学校嫌いになり、これが勉強嫌いにつながり、中学ではオール1の成績を取りました。
いじめに苦しみ、将来を悲観し、辛く苦しい気持ちを、誰にも話すことができず、希望を失い、学校に絶望し、死ぬ方が楽になれる……そう思って自殺未遂をはかったこともあります。

いじめは世の中の犯罪と同じで、根絶させることが極めて困難です。
だからこそ永遠のテーマです。
子どもたちを取り巻く家庭・学校・地域の大人たちが、この問題に手を差し伸べなければ、子どもの力だけで解決は期待できません。

では具体的にどうすればいいのか・・・・。
実は、これが「いじめ問題解決」の難しいところです。
一般的な方法もあれば、ケースに合わせた方法も必要になります。

この話を含め、私が経験したいじめの実態や、それをいかに乗り越えてきたのか、また教師となっていじめを防ぐために何をしたのか、それでも自分のクラスにいじめがおこったとき、どのような対応をしたのか、親としてどう動けばいいのか、詳しくお話しさせていただきます。

根拠・関連する活動歴

体験したことを元に、どう感じていたのか、何をして欲しかったのか、そして教師として教壇に立ったとき、何に配慮していたのか、詳しくお話しいたします。

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