保育の現場において、保護者との関係性に悩む保育士は少なくありません。保育士が保護者と信頼関係を構築するための1つの方法として、「接遇」スキルの向上がおすすめです。

今回は接遇研修のメリットと研修内容について解説します。さらに当社おすすめの保育士向け接遇研修を紹介しているので、研修のご担当者様はぜひ参考にしてください!

「接遇」とは何か?

「接遇」とは、相手を思いやる心を持ってもてなすことを意味します。ただ形式どおりの対応ではなく、相手の心情や状況に合わせて個別の配慮するのが「接遇」です。

「思いやり」や「心からのおもてなし」を意味する「ホスピタリティ」も接遇と同義の言葉です。現在ではホテルや飲食店などのサービス業だけでなく、医療や介護の業界でもこのホスピタリティが重視されるようになりました。

保育の現場においても、保育士が保護者への対応で接遇を心がけることで、相手に安心感や感動を与えることができます。

保育現場で接遇スキルが必要な背景

次に、現在保育の現場で接遇スキルが求められるようになった、4つの背景について解説します。

保護者のニーズが複雑化し、保育現場が十分な対応をとれていない

保育の現場が直面している課題として、保護者のニーズが複雑化していることが挙げられます。

現在は共働き家庭やひとり親家庭など、家庭の状況もさまざまです。それに伴い保護者側の保育士への要望も多様化しており、保育現場はそれぞれのニーズに応えるべく質の高い対応をしなくてはなりません。

また株式会社日本総合研究所が2022年に保護者を対象として行った「保育の質に関する
アンケート調査」によると、保育士に対して感じる課題として2番目に多かったのが「言葉遣い・マナー」(18.4%)でした。さまざまな要望があるなかで、保育士のマナーも保護者から重視されていることがわかります。

保育士の保護者対応における苦手意識が増大

現在、多くの保育士が保護者対応に苦手意識を持っています。BABY JOB株式会社が2021年に実施した「保育士1年目の悩みに関するアンケート調査」では47%の人が「保護者との関わり」で悩んでいるという結果も出ています。保護者のニーズが複雑化した結果、保育士が対応しきれずにクレームなどのトラブルに発展するケースも増えています。

有料職業紹介事業を行うSimple株式会社が2023年に実施した保育士に関する調査によると、保護者とのトラブルを経験したことがある保育士の割合は「何度かある(31.0%)」と「数える程度だがある(44.0%)」を合わせて7割以上に及びました。

接遇のスキルを身に付ければ、保護者の心情に配慮した対応ができるようになってトラブルも減り、苦手意識の解消につながります。

保育士不足が深刻化

近年、全国的に保育士の人材不足が続いています。

厚生労働省のデータによると、保育士の有効求人倍率は2023年1月時点で3.12倍となっており、全職種平均が1.44倍と比較しても、かなり高い水準であり、深刻な保育士不足を反映した結果になっていることがわかります。

一方で保育士資格を保有していても保育士として就労していない「潜在保育士」は毎年かなりの数に昇るとされており、これらの保育士にいかに仕事の魅力を感じてもらうかが人材確保の鍵を握るといえます。

保育士が接遇スキルを身に付けることで、自身の成長を実感できたり、保護者から感謝される機会が増えたりすれば、それが仕事のやりがいとなって人材の定着化につながるでしょう。

ビジネスマナーを知らない新人・若手保育士が続出

新人や若手保育士のなかに、基本的なビジネスマナーを知らない人材が増えていることも、接遇スキルが求められる理由の1つです。

もともと保育の現場では、一般企業ほどビジネスマナーを学ぶ機会は多くありません。それに加えて、若い世代には上下関係や敬語の使い方に対して以前ほど厳格でない風潮があり、先輩保育士や保護者が当然と考えるマナーを理解していない若手保育士が問題となっています。

接遇マナー研修を開催するメリット

次に保育士を対象とした接遇マナー研修を開催する3つのメリットについて解説します。

①保護者の利用満足度が増加

保護者と日常的にやり取りをする保育士は、保護者にとって園の代表者です。保育士が接遇スキルを身に付けることで、保護者は「この園は自分の状況や心情に寄り添った対応をしてくれる」と感じ、園の利用満足度が向上します。

②保育士の保護者対応への苦手意識が軽減される

接遇の考え方に基づいて保護者と接することで、トラブルやクレームが減り、保護者から心地よい対応を感謝される場面が増えます。それによって若手保育士が抱きがちな「保護者対応は辛い」という苦手意識が和らぎ、自信を持って取り組めるようになるでしょう。

③保育士自身が成長が感じられることで人材定着が図れる

接遇研修を受講してスキルを身に付ければ、それまで苦手としていた保護者対応もスムーズに行えるようになり、保育士としての成長を実感できます。成長のために必要な環境が与えられることで、「これからもこの職場で働きたい」という気持ちが喚起され、離職防止につながります。

保育士対象の接遇研修のテーマ・内容とSBおすすめプラン

最後に、保育士を対象とした接遇研修の具体的な内容と、それぞれのテーマにおける当社おすすめの研修プランを紹介します。

接遇マナー

接遇においては、まず挨拶や言葉遣いなど基本のマナーを身に付けておかなくてはなりません。保育士向けの接遇研修でも、保育士という立場にふさわしいマナーについて学びます。

接遇の基本は、相手に安心感を与える笑顔と挨拶です。それに加えて正しく丁寧な言葉遣いや、美しい姿勢などの立ち居振る舞いも保護者からチェックされています。さらには服装が清潔で安全面に配慮されているかなど、身だしなみについても学ぶことができます。

SBおすすめ研修プラン


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関口真美

せかいく代表
「子育て・教育迷子」のコンサルタント

幼稚園教諭・保育士が身に付けておくべきマナー

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研修では保護者から相談を受けたときに親身になって聴くことや、丁寧な態度でお願いをすることの重要性を学んでいきます。また子どものことについて伝えるときにはポジティブな表現に言い換えるようにするなど、保護者や子どもを肯定的にとらえるコミュニケーション術を習得できます。

SBおすすめ研修プラン


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長坂麻須美

産業カウンセラー、アロマセラピスト

保護者とのコミニケーションUPのための傾聴&セルフケアー

保育士向けの傾聴&セルフケアの2本立てプラン。まずは自分自身を分析して、ココロとカラダを安定させる術を学んだあと、保護者との信頼関係づくりの第一歩である「傾聴」スキルを習得していきます。元保育士で、産業カウンセラーでもある講師が受講者のセルフケアを優しくサポートします。


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千原圭子

アンガーマネジメントトレーナー
叱り方トレーナー

アンガーマネジメント~教育現場における感情コントロールの重要性について~

保育士・幼稚園教諭向けのアンガーマネジメント研修。保育や教育の現場では、子どもの気持ちに寄り添いながら、相手に伝わる言い方をする必要があります。アンガーマネジメントトレーナーである講師が、感情を上手にコントロールしつつ、落ち着いて自分の主張を相手に伝える実践的テクニックを伝授します。


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Ti-ccha

チャイルドコーチングアドバイザー
ヘルスボディーアドバイザー

今日からスタート!保護者も先生も笑顔になるコミュニケーション実践法

保護者と感情的な衝突があったときの解決策は、決して相手を否定せず、肯定的なコミュニケーションを心がけることです。キッズダンススクールを経営し、多くの保護者と関わりながら子どもたちを指導してきた講師が、心理学の手法エゴグラムを利用した、保護者も先生も笑顔になるコミュニケーション法を伝授します。


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小﨑恭弘

大阪教育大学教育学部 教授
附属天王寺小学校 校長

保育士キャリアアップ研修

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SBおすすめ研修プラン


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吉田真知子

人材活性・チームコンサルタント

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杉本哲也

夢屋 代表
親学推進協会講師

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保育士向けの接遇研修で保護者と保育士の満足度を向上

接遇のスキルは保護者と保育士との信頼関係を築くことで、保護者の満足度を上げるだけでなく、保育士の成長実感や離職防止にもつながります。当社では実績豊富な講師による保育士向け接遇マナー研修やコミュニケーション研修も多数ご用意しています。研修ご担当者様はぜひお気軽にご相談ください!


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