自然災害などが増えている昨今、非常事態が発生した際にも従業員の命を守り、事業を継続するための対策は必須です。この記事では、BCPの必要性とBCP研修導入で得られるメリットについて解説し、弊社おすすめのBCP研修プランもご紹介します。BCP研修で、災害などもしもの時に強い会社にしていきましょう!

BCP(事業継続計画)研修とは何か

BCP研修は、日本語でいうと「事業継続計画研修」となります。まずはBCPの意味を改めて確認しておきましょう。

BCP(事業継続計画)とは

BCP(Business Continuity Plan)は、「組織が自然災害や緊急事態に備えるための計画」のことを表します。

災害やテロ、システム障害などの非常事態において、業務が中断しないよう、事業の継続性を確保し、混乱から迅速に回復するのが目的です。適切なリスク評価や災害対策・復旧戦略の立案、通信手段の確保、それに伴うトレーニングなどが含まれます。事業継続性の重要性が高まる現代のビジネス環境で、BCPは必須です。

BCP研修では、事業継続性計画を作成したうえで、その重要性への理解を深めます。災害発生時の対応力を養成する機会でもあります。

BCP研修の必要性

続いてBCP研修の必要性について、具体的な事例も含めて3つの視点から解説しましょう。

①災害など予期せぬ事態への迅速な対応

BCP研修が必要な理由のまず1つ目は、「災害など予期せぬ事態が起こった際に、企業には迅速な対応が求められること」です。

1970年代にアメリカやイギリスで始まったBCPは、2001年のアメリカ同時多発テロをきっかけに世界に広まりました。

また2011年の東日本大震災では、インフラ復旧の遅れや、原料・資材調達の停止など、多くの企業で事前対策不足が露呈しました。2020年からの世界的パンデミック下の日本では、外出自粛などの影響で、特に観光業や飲食業の事業の継続が困難に陥りました。

これらの事例から、事前に災害や緊急事態を想定したBCPを策定する必要性が認識されました。さらに発生した際には、それを元にした迅速な対応も求められます。

②社員の命を守ること

2つ目は、緊急時にこそ「社員の命を守ること」です。

災害など緊急事態が発生した際、事業継続に早急の体制を確立するためにも、社員の命の安全確保と安否確認を最優先する必要があります。

特に安否確認のプロセスを明らかにしておかなければなりません。現代では災害伝言板やSNSなどのサービスを利用した安否確認ができるようになりました。

事業継続のためには人命が最優先です。その上で事業資産の確保や、情報整理などを行うことが重要です。

③顧客への信頼性担保

3つ目は「顧客への信頼性を担保すること」です。

いくら予期せぬ事態とはいえ、製品・サービスの供給が急に滞ってしまう状況では、企業は取引先からの信頼を失いかねません。

そんなときもBCPを策定しトレーニングができている企業であれば、速やかな意思決定ができるでしょう。製品やサービス提供の中断は最小限に抑えられます。その結果もたらされるのが、取引先や顧客からの信用、ブランドやイメージの向上です。

特に日本では災害リスクが高いため、BCPを持つ企業が取引先に選ばれる可能性が高まるのではないでしょうか。BCPへの積極的な取組みは、大企業だけでなく、中小企業にとっても大きなメリットがあります。

介護事業者へのBCP策定義務化

災害や感染症拡大などの非常時にもサービス提供を継続できるよう、2024年4月1日より、全ての介護事業者にBCPの策定が義務化されました
例えばBCPでは、非常時の業務各担当者を事前に決めておき、必要になればすぐに参照できるように、施設利用者の連絡先も整理しておきます。またいざという時には、必要な物資の準備も大切です。

これらのことを事前に共有して訓練を実施すると共に、定期的に見直しを行うことが求められています。

この背景には、高齢者の増加や過去の教訓、事業者の社会的責任などがあり、介護事業者へのBCPの策定義務化に至りました。

BCP研修を通じて企業が得られるメリット

続いて、BCP研修の導入で企業が得られるメリットを4つ、紹介しましょう。

1.非常事態における事業ダメージの最小化

まず初めのメリットは、「非常事態にも事業ダメージを最小に抑えられること」です。

対策ゼロの企業が、いざ災害や大規模システム障害に直面したときにはどうなるでしょうか。例えば同じ業種・規模の2つの企業を比較してみても、BCP研修を通して正しい知識を持ち、しっかりBCPを策定していた企業のほうが、ダメージを最小化できるでしょう。

2.社内BCP担当者・管理者育成

2つ目のメリットは、「社内にBCP担当者・管理者を育成できること」です

社内に研修を受けたBCP担当者・管理者を置くメリットは、多々あります。会社は事業形態や体制など、日々進化していくものです。社内にBCPの担当者や管理者がいることで、社内の変化を把握した上で、そのときの企業にとって最適なBCPの策定や改定を行えます。

またBCPを作成するプロセスの中で「非常時にも優先すべき自社の課題」や、「優先度の高い事業が何か」を判断できます。すなわち、平常時の経営判断のヒントとなる現状把握にも役立つのです。

3.組織全体の危機管理・リスクマネジメント強化

3つ目のメリットは、「BCP研修が組織全体の危機管理・リスクマネジメント強化につながること」です。

「危機」管理は、自然災害だけでなくサイバーテロや大規模システム障害といったものや、製品トラブルなど「企業内外に由来する、予測できない問題への対応」を含みます。

一方で「リスク」マネジメントは、システムエラーやヒューマンエラーなど、あらかじめ想定できるトラブルへの対策全体を指します。

BCPはリスクマネジメントの1つに位置づけられる概念ですが、危機管理への取組み強化にもつながります。研修を受けることで、潜在的なリスクや危機について理解し、その重要性を認識できるためです。

4.税制優遇や補助金を受けられる場合もある

4つ目は、「BCPに取り組むと税制優遇や補助金を受けられる場合があること」です。

2019年に、「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(中小企業強靱化法案)」が可決されました。これは中小企業がBCPの策定を進められるよう、国が財政面からサポートすることを定めています。

BCPに所定の事項を盛り込んで申請して認定を受け、条件が認められた場合、企業は税制優遇や補助金など、金融支援策の対象となります

BCP研修に組み込むプログラム例

続いては、研修に組み込むプログラムの一例について、おもなテーマを4つ紹介しましょう。

①事業継続計画作成の基本

まずは、「事業継続計画作成の基本」について学びます。

BCPの策定を、経営層の独断で進めるのでは意味がありません。現場を知るバックオフィス系部署やBCP担当者を含めて、チームを編成する必要があります。

そのメンバーで基本方針の作成業務の優先度付け、目標復旧時間の把握やリスク分析などについてを学びます。

②BCM(事業継続マネジメント)の要点

BCM(Business Continuity Management)とは、BCPで策定した内容の改善・運用を含めた、「企業が事業継続性を確保するための総合的なアプローチ」を意味します。

「計画を立てて終わり」ではなく、それに加えてBCMを実践することこそが、企業にとってのリスクマネジメントとなります。

③非常事態を想定したケーススタディ

非常事態を想定したケーススタディも定番プログラムの1つです。

実際の事例を題材に受講者が状況を分析することで、問題の解決方法や対処法について、理解を深められます。実際に起こった災害や、大規模渉外などのリアルな状況を例としてイメージするのが効果的です。

④自社の影響分析や計画策定などのワーク

4つ目は、「自社の影響分析や計画策定などのワーク」です。

参加型のワーク形式で、講義で得た知識をアウトプットするプログラムもよく採用されています。課題としては、リスク分析や実際のBCP策定を行います。

リスク分析では、自社の業務プロセスや経営資産、顧客関係などを洗い出し、災害時のそれらへの影響をシミュレーションします。

またBCP研修において、BCP策定のワークは必須です。

SBおすすめのBCP研修プラン

システムブレーンおすすめのBCP研修プラン12選について、以下にそれぞれ内容やポイントを紹介します。


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赤堀三代治

リスクアドバイザー
コンプライアンスアドバイザー

~東日本大震災に学ぶ~
事業継続計画(BCP)の策定による大規模災害への対応

JAグループを定年退職後、リスクアドバイザーとしても活動する赤堀三代治氏による研修プランです。東日本大震災の被害や対応を教訓に、今後発生が予測される大規模地震にはどのように備えたら良いかを学びましょう。JAグループの事例を参考に、BCPの策定・運用についてレクチャーします。


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上野貴司

中小企業診断士
公益財団法人日本生産性本部認定経営コンサルタント
生産性向上コンサルタント

危機に備える未来をつかむ! BCPセミナー

BCPコンサルティングなどを行う上野貴司氏による研修プランです。事業継続の基本となるBCPの本質を理解したうえで、実際にリスクマップやBCP作成などの演習も行います。基礎からBCPを学べます。


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江藤雅章

QMS・PMS審査員
第一種衛生管理者
行政書士

災害への備えとBCPへの取り組み

行政書士でもある江藤雅章氏による研修プランです。「防災対策とBCPの関連性の解説」に定評もある講師。元警視で、警察に37年間勤めた経験があります。その知見も踏まえ、企業防災とBCPとの関係、発生時の対応について、ワークショップなどを通じて学べます。


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田代邦幸

防災・BCM コンサルタント
合同会社 Office SRC 代表

いまから始める事業継続計画(BCP)

防災・BCMコンサルタントでもある田代邦幸氏による研修プランです。BCPについて、基礎から学べる内容になっています。BCPの作り方や訓練について、BCPへの予備知識がない人にもわかりやすいよう解説します。


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立石裕明

事業承継・事業再生コンサルタント 株式会社アテーナソリューション 代表取締役

阪神淡路大震災の教訓
被災経営者が語る、危機管理、事業継続マネジメント、BCPとは

温泉旅館の3代目として生まれ、事業承継・第二創業の経験を持つ立石裕明氏による研修プランです。阪神淡路大震災の経験から得た、経営者にとっての危機管理の重要性や、それを踏まえた事業継続マネジメントについて学べます。


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近村和宏

元 長崎県警 警視
行政書士近村和宏事務所 代表

BCP作成に向けて 体験者が教える災害への備え
命あってこその事業継続 命を守れるのは強い意思

元長崎県警の警視で行政書士でもある近村和宏氏に、BCP作成を学ぶ研修プランです。介護事業者へのBCP作成が義務化されたことを受け、実際の経験談を元に、作成ポイントなどを伝授します。


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平野喜久

中小企業診断士
上級リスクコンサルタント

危機に強い会社をつくる事業継続計画(BCP)

企業のリスクマネジメントやBCP策定支援をテーマに、講演や教材開発などを行う平野喜久氏による研修プランです。BCPの基礎知識から具体的な策定手順までを、わかりやすく解説します。


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古本尚樹

防災・危機管理アドバイザー 医学博士

企業の危機管理や防災対策
~危機管理能力を高め、災害対応のみならず、何事にも積極的に動ける組織、企業人としてのスキルの向上を目指す~

医学博士で、防災・危機管理アドバイザーでもある、古本尚樹氏による研修プランです。動画や画像を用いながら、演習形式でこれまでの災害事例を学びます。BCP策定に必要な危機管理能力を高められます。


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松島康生

災害リスク評価研究所 代表
災害リスクアドバイザー

新型コロナウイルスによって様変わりした新時代の防災対策とBCPのチェックポイント

災害リスクと防災の専門家・松島康生氏による研修プランです。講師はNHKをはじめ、これまで250以上のメディアに紹介された実績を持ちます。このプランでは、既にBCPを策定している会社に向けて、BCPの見直しや強化ポイントを伝えます。


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森 茂

地域活力再生コンサルタント
国際経済斜め読み研究家

東日本大震災にみるBCP作成の必要性

「地域活力再生コンサルタント」である森茂氏による研修プランです。BCP作成の意味と概要、策定と運用のポイントについて、東日本大震災の事例を含めて詳しく学べます。


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山口泰信

BCPコンサルタント
株式会社BCPJAPAN 代表取締役 CEO

阪神と東日本の地震を経験したコンサルタントによる
「使えるBCP」

BCPコンサルタント・山口泰信氏による研修プランです。「BCP」という言葉をはじめて知る初心者から、既にBCPを策定済みの企業まで、幅広い層に対応。講師自身の2つの被災経験を踏まえ、受講者に合わせた「使えるBCP」について解説します。


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山村武彦

防災システム研究所 所長 防災・危機管理アドバイザー

リスクマネジメントとBCP
~新型感染症や多発する自然災害への対応~

報道番組での解説や講演、執筆活動などを通じ、防災意識の啓発に取り組む山村武彦氏による研修プランです。リスクマネジメントとBCPについて、世界中で発生する災害の現地調査を踏まえた内容が学べます。

BCP研修の対象者

それでは、BCP研修の対象者とは具体的にはどのような人たちなのでしょうか。

BCP策定担当者

まずは「BCPの策定業務を担当する社員や部門」には、研修が必須といえるでしょう。

組織において担当者の正確な知識は必要不可欠です。またBCPは作成だけすればよいのではなく、それに基づく訓練や見直しも行わなくてはなりません。

管理職・経営層

続いては「管理職・経営層」です。

BCPは会社が生き残るための計画です。社員を初めとする社内リソースのマネジメントを行うべき管理職や経営層においても、BCPへの正しい理解が欠かせません。この層が研修を受けることで、自社の目的に合致する、より効果的なBCPが策定できます。

一般社員

さらに一般社員もBCP研修を受けるのが理想的です。

自社のBCPがどんな内容なのか、非常事態が発生した際にその企業の一員としてどのような行動を取らねばならないかを、一般の社員も知っておく必要があります。

いずれの層においても、研修を通してBCPの重要性を理解するだけでなく、訓練参加の機会も設定しましょう。いざというという時にも、計画に沿った行動が取れるようになります。

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BCP研修の実施方法

最後にBCP研修の実施方法について、3つの主な方法を紹介します。このうち複数の方法を組み合わせるのも、より効果的でしょう。

集合研修

まずは参加者が同じ会場に一度に集まって学ぶ「集合研修」です。

集合研修では、BCPについての基礎知識や策定のノウハウなどを、バランスよく学ぶことができます。座学で学んだ知識をもとに、例題について参加者同士でディスカッションしたり、グループワークに取り組んだりすると、実践的なスキルとして身につけることができます。

オンライン研修

「オンライン研修」は、BCP策定が義務化されている介護事業者や施設管理者にもおすすめです。場所や時間にとらわれず実施できるため、日々の業務状況に合わせスケジュールを組むことができます。

オンライン上でも、グループワークなど実践研修を行えます。

動画教材・eラーニング

BCPは「動画教材・eラーニング」でも学べます。

これらの方法のメリットは、集合研修やオンライン研修と比較して、繰り返し動画を見ることができる点です。気になる点は何度も確認するなど、受講生のペースで学びを深められるでしょう。

またオンラインや集合研修を受ける前の予習として位置付け、基礎知識や実例を学ぶのにも役立ちます。

このように、災害時などの非常事態が発生した際でも事業を継続するためには、BCP策定は必要不可欠です。研修を通して正しい知識を学んだ上でBCPを作成すれば、予期せぬ事態を乗り越える際の指針として活用できます。
BCP研修をぜひご検討ください。


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