今、多くのホテルが自社の従業員の接客スキルや語学力向上などを目的として、積極的に研修を実施しています。
今回は、従業員のスキルアップを急ぐホテルが増えた理由や、ホテル研修の主な内容を解説します。さらにシステムブレーンのおすすめホテル研修10選も紹介しているので、研修実施をお考えの担当者様は、ぜひ参考にしてください!
スタッフのスキルアップを目指すホテルが急増している理由
なぜ今、ホテル研修が盛んに実施されているのでしょうか? その理由は、主に以下の3つです。
(1)人材不足を補うための業務効率化
ホテル業界は現在、深刻な人手不足に陥っています。「全国旅館ホテル生活衛生組合連合会青年部」の2023年5月の調査結果では、全国のホテル・旅館の約9割が、人手不足であると回答しています。
外部からの新たな人材確保が難しい以上、既存スタッフのスキルを上げることで業務を効率化するしかありません。スタッフのスキルを磨けば、従来は複数人で分担していた業務を、1人のスタッフがこなすことも可能です。
(2)ホスピタリティ向上による競争力強化
利用客が増えている今、どのホテルも他社に差をつけるサービスで新規顧客を獲得し、さらに既存顧客を囲い込みたいと考えています。
スタッフ一人ひとりのホスピタリティを向上し「またこのホテルを利用したい」というファンを増やすことが、業界内での競争力強化につながります。
(3)外国人対応の需要増加
また増加する外国人観光客に対応するためには、語学の習得はもちろん、それぞれの国で異なる生活習慣や食文化、マナーについても理解しておかなくてはなりません。
またスタッフにも外国人は増えており、一緒に働く上で異文化理解が不可欠です。
スタッフが言語や知識、マナーなどを身に付けると、外国人観光客のニーズに応えられます。
ホテル研修で期待できる効果
それでは研修では具体的にはどのような効果が得られるでしょうか。ここでは「スタッフ」「現場」「ホテル全体」の3つの観点から解説します。
スタッフ:一人ひとりのスキルアップ
まずは個々のスタッフの、接客をはじめとしたスキル向上が挙げられます。
それぞれのスタッフがホテリエとしてレベルアップすることで、達成感ややりがいを持って仕事に取り組めるようになるでしょう。
現場:チームワーク向上
ホテル業務の現場では「お客様に満足していただく」という1つの目的の下、各セクションが協力しあうチームワークが大切です。チーム全体を見渡して次に取るべき行動を判断したり、他のメンバーと互いに助け合ったりする訓練やプログラムを通じて、チームワークも向上します。
ホテル全体:サービスレベルの統一
ホテルにとっては、全体のサービスレベルを統一できる効果もあります。
一部のベテランスタッフの接客がどれだけ優れていても、他のスタッフが質の低い対応をしてしまえば、ホテル全体の評価が低くなることは免れません。特に経験の浅い新人スタッフを、研修によって一定のサービス水準にいち早く引き上げることが重要です。
サービスの標準化は、ホテル運営の効率化にも直結します。
研修で学ぶ内容の一例
ホテル研修の内容は幅広く、受講するスタッフの職種やホテルの特徴に合わせて選ぶ必要があります。ここでは一般的なホテル研修の内容の一例を紹介します。
①基本的な接客マナーと心構え
特に新入社員向け研修で定番のテーマが、ホテルスタッフとして基本的な接客を学ぶ研修です。
まずホテルスタッフとしてマナーの重要性を理解し、そのうえで正しい言葉遣いや身だしなみ、お辞儀の仕方、立ち振る舞いなどを学びます。
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②ホスピタリティと顧客満足
ホテル研修の重要な内容の一つが、ホスピタリティの概念を知ることです。
「マニュアルにあるから」ではなく、「顧客に心から満足してもらうにはどう対応すればいいか」「どのように行動すれば顧客の感動を引き出せるか」について自ら考えるマインドを学びます。
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③接遇実習
ホテル研修には、座学だけでなくワーク形式の内容もあります。特定の状況を想定して、ベストな応対は何かを考える、接遇のロールプレイングは実際の業務にも役立ちます。例えば「チェックイン客の名前が予約リストに見つからなかった」場合などについても学びます。
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④クレーム対応
ホテル業務のなかでも難しいものの1つが、クレーム対応です。
クレームはホテル側の不手際に対するものだけでなく、実際には対応不可能な要求をされるケースもあります。冷静に対処できるよう、正しい対処法や気配りを学びます。
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⑤電話対応
電話対応も、ホテルの印象を左右する重要なサービスの一つです。電話のかけ方・受け方、予約・問い合わせなどへの応対、相手の要望を素早く正確に読み取るコミュニケーションスキルなどを習得します。
⑥語学研修
語学研修では海外からの顧客と接するうえで必要な、外国語での挨拶や会話を学びます。また日常会話だけでなく、緊急時にも対応できる語学力を身に付けなくてはなりません。
語学研修は参加者の仕事内容や語学力のレベルに合ったものを選びましょう。研修によってはTOEICなどの語学試験に対応した内容もあります。
⑦非常時対応
ホテルスタッフには、万が一のときに利用客の安全を確保する責任があるため、非常時対応の研修も増加傾向にあります。
地震や火災、あるいは不審者侵入などのシミュレーションを行い、スタッフ一人ひとりが取るべき行動について訓練します。
特に高齢者や妊婦、身体に障がいのある人や車椅子の人など、避難に際して特別なサポートを必要とする人を、落ち着いてスムーズに誘導できることが大切です。
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ホテル業界向けSB研修おすすめプラン10選
システムブレーンでも人気講師によるホテル研修を多数用意しています。以下におすすめプラン10選を紹介します。
クレームを ファンに変える
国内外VIP対応から学んだ、クレームをファンに変える 究極の方法
ホスピタリティアドバイザー・石原健氏による、サービス業や接客業の人々を対象としたクレーム対応研修。自身も外資系ホテルの現場で勤務した経験を持つ講師が、クレーム発生をチャンスとしてロイヤルカスタマーを掴む方法を伝授します。
ホスピタリティサービスで儲ける!
~僅か5%の心を掴む、思い遣りのサービスマネージメント~
リーガロイヤルホテル元常務取締役総支配人・今津靖彦氏が、「真のホスピタリティとは何か」を伝える研修プラン。「お客様目線」にこだわっているのに成果が伴わないと悩む経営者向けに、実践的なサービスマネジメントを伝えます。
伝説のホテルマンが語る ホスピタリティ
スタッフの好感度・接客力を高めて売上アップ!
プリンスホテル元取締役・河野正光氏が、サービス業・観光業のスタッフ向けに、接客力を高めて売上をアップする具体的な方法を解説。最適なパーソナルスペース、身だしなみや言葉遣い、電話応対や清掃の心構えなど、明日からすぐに実践できるスキルが身に付きます。
ホスピタリティ・マーケティングが全ての産業を変革する
「現在のホスピタリティ・マーケティングで求められるものは何か」を学ぶサービス哲学の研修プラン。講師が多様化する顧客ニーズに応えるサービスの在り方について解説し、真の顧客満足を引き出す接客について学びます。
リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ
~従業員満足なくして顧客感動なし~
ザ・リッツ・カールトン大阪の元副総支配人・四方啓暉氏が、一流ホテルのホスピタリティの極意を伝える研修プラン。ホスピタリティを実現するためには、まず従業員の満足を高めること。そのためのリーダーシップやコミュニケーション術を習得します。
ホスピタリティの心 ~人間力の原点~
世界のホテル人気ランキングでトップグループ入りを続けているリッツ・カールトンの元支社長・高野登氏のホスピタリティ研修。顧客の感動を引き出すサービス哲学とは何か。リッツ・カールトン流の人材育成術も学べます。
地域が輝く・活性化する!おもてなしデザイン
ホスピタリティ人財育成コンサルタント・永末春美氏による、おもてなしデザインの組み立て方研修。ホテル支配人時代の経験をふまえた、その地域独自の強み・地域ブランドの重要性をについても伝えます。
おもてなしのデザイン
「日本一の業態から学ぶもてなしの表現力」
「食と空間」の総合プロデューサー・星健一氏が考える、おもてなしの表現とは? サービス業や観光業などのリーダークラス以上を対象にした、おもてなしの発想についての研修です。繁盛店の成功事例なども学べます。
CS接遇力アップセミナー~顧客心理の接客術~
ザ・リッツ・カールトンの専属司会者として1,500件の結婚式の現場を経験した松岡利恵子氏が伝授する、おもてなしのコツ。徹底して「お客様心理」に焦点をあてた接客術で、ホテルの現場で成果を出せる人材の育成につなげます。
負債10億円からの復活劇!
ITで起こした老舗旅館のイノベーション
デジタル化で時代の変化に対応する
100年以上続く老舗旅館の女将が語る、傾いた事業をV字回復させた経営術。業務改善によって倒産の危機にあった旅館を復活させた講師の経験から、サービス業の業績を伸ばす秘訣が学べます。
ホテル研修の効果を高めるための3つのポイント
最後にホテル研修の効果を高めるための、3つのポイントについて解説します。
(1) ケーススタディやワークを取り入れる
現場ですぐに発揮できる力をつけるためには、実際の接客シーンを想定したロールプレイングなどのワークを取り入れるのがおすすめです。また講師から話を聞いたあとは、グループでそれについてディスカッションしたり、発表したりする時間を設けましょう。
学んだ内容を自分たちの業務に照らして考え、実践する機会を作ることで知識やノウハウの定着を図ります。
(2) 新人・フロント・支配人など、受講者に最適な内容に設計する
参加者の階層や職種に合わせて内容を設計することもポイントです。
例えば新入社員と支配人とでは、業務の内容がまったく違います。さらに同じ管理者クラス向けの研修でも、初級・中級・上級など対象者を区別することがあります。レベルのミスマッチに注意しましょう。
またフロント・レストラン・客室係などの職種に合わせてプログラムを設計することで、研修の専門性を高めることができます。
(3) マニュアル作成や評価制度整備なども併用する
優秀なホテルスタッフの育成や定着は、研修の実施だけでは実現できません。
「どの業務をどのレベルでできるのか」を自分と上司とで確認して次の目標を決める人事評価制度や、スタッフによるサービス水準のバラつきをなくすための業務マニュアル整備など、研修実施後もスタッフが意欲を持って働ける取組みへとつなげましょう。
顧客満足度を左右するのは、ホテルスタッフ一人ひとりのパフォーマンスです。より質の高いサービスを実現するホテル研修の導入をぜひご検討ください。
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